最適な決断とは、一体何なのか?
はじめに
本稿では、株式投資をはじめとした投資行動において、何が最適な決断なのか・・・について書いていきたい。
結論から言うと、最適な決断とは、「その時点でのベスト」を選択することだ。
「結果論」ではない。
ちなみに、『デジタル大辞泉)(小学館)』によると、結果論の定義は、下記の通りだ。
投資家に限らずだが・・・既に決定された不変の事実である「結果」ばかりを見て、その人の思い通りの結果でなければ、「あれは最悪の決断だった」「あんな結果なら、初めから何もしなければ良かった」などと結果を悲観的に捉え、嘆く者が、巷には非常に多い。
しかし、投資のプロフェッショナルは、そのようには考えない。
「そのとき」に得られる全ての情報を踏まえ、その時点で立てられる見通しの中で、確率的に最も利益をもたらし得る決断と決断軸こそが、ベストだ。
したがって、投資のプロは、「結果」と「決断(決断軸)」の善し悪しをキッパリと分けて評価する。
ちなみに、ここでいう「利益」とは、一回一回の取引にフォーカスしたものではない。
人生トータルでの利益を最大化することこそが、投資家にとって最も大切なことだ。
「その時点でのベスト」とは?
「その時点でのベスト」とは、結論としては、確率論・統計学に基づいた最善の選択の連続。
つまり、最も確率的・統計的に儲かる可能性の高い決断を繰り返していくことが、ベストだ。
天性の勘などというものは、一切不要だ。
「確率的・統計的」とは、どういうことなのか・・・それは、後ほど詳しく説明させていただこう。
「儲かる決定」が、最高の決断では?
投資家たるもの、人生トータルで、利益・儲けという「結果」を最大化する行動を取らなければならない。
「結果的に儲かる決定」が、全てお見通し・・・なのであれば、儲かる決定だけをしていけば良い。
それでは、「結果」と「決断」の善し悪しを区別するのは、なぜなのか・・・?
その答えはシンプルだ。
ヒトは、マーケットにおいて、未来の「結果」を決めることはできないから。
投資家の仕事は、タイムカプセルを作ることでも、そのような空想の乗り物に乗ることでもない。
ましてや、違法な相場操縦をすることでもない。
インサイダー情報を入手して、違法な稼ぎを得ることでもない。
投資家の仕事は、不確実極まりないマーケットというフィールドにおいて、確率的に合理性の高い決定(=人生トータルで稼げる可能性の高い決定)を、淡々と下し続けることだ。
その決断は、確率論や統計学に基づき計算され尽くした、合理的な判断軸のもと下される「単純作業」でなければならない。
決断の瞬間に悩むようでは、もはや、その投資家の「人生トータルでの負け」は、目に見えている。
例えば、投資判断をする度に、軸がぶれているようでは、もうお話にならない。
もしくは、その「軸」さえもなく、なんとなく投資をしている個人投資家も、中にはいらっしゃるのではないだろうか。
実力で稼げるプロ投資家の頭の中には、常に判断軸が存在します!
確かにな。だから、投資判断の際に、迷うことなんてないよな。
プロ投資家は、「投資」だけに限らず、日常生活でも「軸」を持って、迅速かつ淡々と意思決定される方が多いですね。
「結果を決めれない」なら、どうやって軸を作る?
無数のマーケット参加者の決断・行動の結果として、市場価格が決まるマーケットにおいて、一人の投資家の意思で価格を決めることはできない。
たとえば、大口投資家が、マーケットに大きな影響を与え得る「相場操縦」といった行為は、金融商品取引法で禁じられている。
つまり、「一回一回の投資結果」は、一市場参加者が決めることはできないし、そもそも、そのような行為は法律で規制されている。
ここで赤字部分に注目してほしい。
投資家が決めることができないのは、「一回一回の投資結果」だ。
人生トータルでの投資成績は、この世の「確率論」「統計学」といった理論が崩壊するような、稀に見る異常事態が生じない限り、ある程度は、投資家の知恵と行動により制御可能だ。
貴方も、確率論や統計学を駆使すれば、「人生トータルの投資成績」をコントロールできる。
確率論や統計学で、トータルの投資成績を制御できる
確率論や統計学で、投資成績が「ある程度」なら制御できる、その理由を結論から言おう。
「大数の法則」という、有名な法則がある。
この法則が、人生トータルでの投資成績を制御する上で、大切な概念となっている。
大数の法則とは?
学問的な話をしても、混乱を招くことになりかねない。
ここでは、スムーズに投資の話題に繋げていくため簡潔に記載するので、学問的なことについては、専門書籍等をお読みいただきたい。
分かりやすく説明するために、まずは『フリー百科事典(ウィキペディア)』の記述を引用させていただく。
こちらの説明をもう少しかみ砕いていうと、「試行回数」を増やせば、その結果は「理論的な確率」に収束していくということだ。
『フリー百科事典』のコイントスの例を振り返ろう。
理論的には、コイントスの「表」と「裏」が出る確率は、50%(=1/2)である。
しかし・・・例えば、コインを3回だけしか投げなかったら、それら全てが「裏」になることも往々にしてある。
このとき、「裏」の出現割合が100%であり、「表」は0%となってしまい理論値通りにならない。
つまり、まったくもって「先が読めない」ということだ。
しかし、コインを1000回投げれば、「表」と「裏」が、それぞれ約50%の確率で出現する。
つまり、試行回数を増やせば、理論通りか、それに近い結果が出るということだ。
大数の法則について、イメージしていただけただろうか。
投資ロジックを作るに当たって、大数の法則は必須の知識ですよ!
昔、この法則を、大学だったかな・・・で習ったとき、面白くてワクワクしたのを思い出したわ。
試行回数を増やし、理論値に近い投資結果へ
勘の良い方は、先ほどの説明でお分かりいただけたはずだ。
投資のプロフェッショナルは、「試行回数を増やせば、その結果が理論値に近づくという性質」を利用して、人生トータルで稼ぐのだ。
そこで、一般の個人投資家にとって問題になるのが、恐らく「理論値」を構成するロジックをどうやって見つけ出すのか・・・という点だろう。
それは、当サイトの別記事『稼ぐ投資家の再現性の高い思考メソッド』の中で、「ロジックの作り方」に軽く言及しているので、ヒントにしていただきたい。
もっとも、ロジックの作り方は、人それぞれであって、上記記事の記載は、あくまでも一例にすぎない。
ここで確かに言えるのは、「ロジック」すら持たずに投資をするのは、非常に愚かなことだということだ。
「投資では、判断根拠が大事」だと言われても、ピント来なかった方・・・この記事で、少しでもその理由がお分かりいただけましたか?
根拠といっても、何でも良い訳じゃない。
そう、確率論・統計学に基づいたロジック(判断軸)が必要ですね!
まとめ
- 確率論・統計学に基づく確固たるロジックを作ろう。
- そのロジックに基づいて、淡々と投資判断を下すこと。
- 一回一回の投資結果は、読む必要がないし、「読めない」と割り切ろう。
- 大数の法則を利用して、「人生トータルで収益を得ることを目指す」という考え方が肝要。