こんにちは、専業FXトレーダーのケンタです。
今回は「2025年7月のドル円相場」をテーマに、今後の動きを予測していこう。
結論から言うと、今月のドル円相場は一時的な調整を挟みながらも、基本的には上昇基調が継続する可能性が高い。
その理由を、
- 米国と日本の金利差
- 日銀のスタンス
- 米経済指標
- テクニカル分析 という4つの観点から丁寧に見ていこう。
【米金利と日銀のスタンス】金利差は依然として円安バイアス
まず押さえておきたいのが、米国と日本の金利差だ。
2025年6月末時点で、FRBの政策金利は5.25%〜5.50%で維持されている。 一方、日本はというと、日銀がようやくマイナス金利を解除したものの、利上げ幅は極めて限定的で、政策金利は現在0.10%。
この「金利差の極端さ」こそが、ドル円相場を円安方向へと導いている最大の要因だ。
さらに6月の日銀金融政策決定会合では、インフレ率が2%台を維持しているにもかかわらず、追加利上げを見送った。 これは、日銀は急激な引き締めに慎重であることを市場に印象づけた。
つまり、ドル買い・円売りの構造は崩れていないということだ。
また、米国では2025年大統領選を控え、FRBは過度なボラティリティを避けようとするバイアスもかかっている。 市場としては「利下げは時期尚早」とのコンセンサスが形成されつつあり、これもドル買い圧力の背景にある。
このような金融政策の非対称性が続く限り、円安圧力は継続しやすい。
【米経済指標】雇用とインフレは堅調
次に、米国経済の足元を確認しておく。
2024年6月の雇用統計(2025年7月3日発表)は、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る伸び(+26万人)。 失業率も3.9%と、依然として完全雇用水準を維持している。
特筆すべきは賃金の伸びだ。前年比で+4.1%と、インフレ率を上回る伸びを見せている。 これは「インフレが粘着質である」ことを示す強力な証拠となっており、FRBが利下げに慎重になる理由とも言える。
また、6月CPI(消費者物価指数)は7月11日(木)に発表予定で、前年比+3.1%、コアCPIも+3.4%との予想。 インフレの鈍化は見られるものの、2%目標には遠く及ばない。
これにより、7月のFOMC(7月30〜31日開催)で利下げは見送られる可能性が高まっている。 つまり、ドルは引き続き強含みやすい環境にある。
加えて、ISM製造業(7月1日発表)・非製造業(7月3日発表)ともに景況感が改善傾向を示している。 これは実体経済の底堅さを裏付けており、ドル買いを支える材料になる。
【テクニカル分析】調整局面を抜け、上値トライへ
チャート面からも、上昇の兆しは明確だ。
2025年6月末のドル円チャート(H4〜D1)を見ると、
- EMA200を明確に上抜いてキープ
- ボリンジャーバンドはスクイーズ後にエクスパンション
- RSIはやや高めながら、過熱感は限定的
6月下旬に一時146.50円をつけた後、145円台までの調整を挟んだが、再び上昇気配を見せている。
日足のMACDもゴールデンクロスを形成し、モメンタムが上向きに転じている。 また、ATR(14)は一時縮小していたが、7月に入り再び拡大傾向。 これは「エネルギーの溜め」が終わり、トレンドが動き出すサインと見ていい。
テクニカル的な上値のターゲットは、
- 直近高値の146.80円
- 2022年につけた節目147.80円
- さらには148.50円の心理的節目 あたりが意識される。
下値は144.90〜145.20円のサポート帯。 ここを割れると、短期的な流れが変化する可能性があるが、現時点では堅い防衛ラインと見ている。
【トレード戦略】実戦で活かす押し目買いのポイント
僕自身の戦略としては、 「調整が入った場面での押し目買い」が軸になる。
とくに、以下のようなシナリオを想定している:
- 東京時間の薄商いで145.20円付近まで押す場面
- 欧州勢参入で145.50を明確に回復
- この時、5分足〜15分足での出来高増加+RSI反転を確認
このタイミングでロングエントリーし、
- 利確目標:146.70〜146.90
- 損切り:144.85割れ でセット。
損益比が3:1以上になるよう設計している。
【経済カレンダー】7月の注目イベント(すべて日本時間)
以下のイベントは、ドル円に影響を与える可能性が高い:
- 7/1(火) 日銀短観、米ISM製造業景況指数
- 7/2(水) 米ADP雇用統計
- 7/3(木) 米雇用統計(6月分)※独立記念日前倒し発表、米ISM非製造業景況指数
- 7/10(木) 日本失業率・有効求人倍率
- 7/11(金) 米CPI(6月分)
- 7/15(火) 米CPI(コア)
- 7/17(木) 米小売売上高
- 7/30(火)〜31(水) FOMC(政策金利発表・パウエル会見)
特にFOMCでは、2025年後半における利下げ時期のヒントが示唆される可能性がある。
もしパウエル議長が「慎重な姿勢」を強調した場合はドル買い、 逆に「インフレ鈍化に自信」を示した場合はドル売り圧力となるだろう。
【まとめ】2025年7月のドル円は、強気バイアス継続
要点を整理すると、
- 金利差は依然としてドル優勢
- 米国経済は堅調、インフレも粘着性あり
- 日銀は追加利上げに慎重姿勢を維持
- テクニカル面でも調整を経て再上昇局面へ
これらを踏まえ、2025年7月のドル円相場は **「基本的に上昇基調。押し目買い戦略が有効」**というのが僕の見立てだ。
ただし、7月後半にあるFOMC(7/30〜31)では、「年内利下げの有無」に注目が集まるだろう。 ここでの発言次第では、ボラティリティが一気に高まる。
リスク管理を徹底しながら、構造的な円安トレンドの波にうまく乗っていきたい。
それでは、また次の記事で会おう。