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7376 BCC 第12期有報を起点に読む株価の現在地と次の分岐点|IRは評価をどう変えるのか

Trader reading the securities report of 7376 BCC with market charts on screen

本日12月23日、ついさきほど。
7376 BCC株式会社の「第12期 有価証券報告書」が出た。

数字を見て、正直どう感じただろうか。
思ったより悪くない。けれど、買いたくなるほど良くもない。
多くの投資家が、そんな曖昧な違和感を抱いたはずだ。

僕はこれまで、テーマ株、業績相場、需給相場を何度も往復してきた。
その経験から言えるのは、こういう違和感を放置した銘柄ほど、後から効いてくるということだ。

この記事は、なぜBCCが評価されきらないのか。
今回の有報が、株価にどこまで影響するのか。

そして、どの条件が揃えば投資判断が変わるのか。
事業環境からテクニカルまで一気通貫で解説する。

対象は初心者ではない。
有報を全部読む気はないが、判断材料は欲しい。
テーマ株に疲れ、次の一手を探している中級以上の投資家向けだ。

本記事は、BCC株式会社が公開しているIR資料を一次情報として分析しています。

文書名:有価証券報告書-第12期(2024/10/01-2025/09/30)
提出日:2025年12月23日 10:26

BCC株式会社
EDINET – 金融庁

目次

7376 BCCを取り巻く事業環境の現在地

なぜテーマにも不況耐性銘柄にもなりきれないのか。

BCCの主力事業はIT営業アウトソーシングだ。
この時点で、株価の性格はかなり決まる。

まず前提として、ここ数年の日本株市場を振り返ると、評価されてきたのは大きく3つだ。

テーマ性、スケーラビリティ、需給の軽さ。
DX、生成AI、EV、半導体。

どれも共通しているのは、業績より先に期待が走る構造だ。

一方、IT営業アウトソーシングはどうか。
企業の営業活動を外注するビジネスであり、景気が良くても悪くても一定の需要はある。

だが、ここには明確な弱点がある。
売上は人員数と稼働率、単価の積み上げで決まる。
SaaSのように、契約が積み上がっていく構造ではない。

この構造は、市場評価において致命的なほど地味だ。

DX銘柄としては見られない。
人材株としても、派遣やSESほどの分かりやすさがない。
アウトソーシングとして見れば、景気連動色が残る。

結果としてBCCは、テーマ株にもなれず、ディフェンシブにもなれず、中途半端な位置に置かれる。

ここが、まず第一の評価の壁だ。

だが重要なのは、ここから先だ。

この事業環境は、裏を返せば 極端な逆風にもなりにくい
景気後退局面で真っ先に切られるのは、設備投資や広告費だ。
営業機能そのものは、簡単には止められない。

つまりBCCは、上に飛びにくいが、下にも崩れにくい。
市場が最も扱いづらいゾーンにいる。

僕が過去に見てきた中でも、こういう銘柄は評価が変わるまで時間がかかる。
だが一度評価軸が定まると、急に見直されることがある。

今回の有価証券報告書は、その評価軸を定めるための材料になり得る。
ただし、それはIR単体では完結しない。

次章では、現在のファンダメンタルを数値で分解し、なぜ市場が強気にも弱気にもなりきれないのかそこを掘り下げる。

現在の業績と財務をどう評価すべきか

事業環境が中立的である以上、次に見るべきは現在の数字だ。
ここを曖昧にしたまま将来性を語ると、すべてが感想になる。

今回の有価証券報告書で開示されている数値は、派手ではない。
だが、評価が定まらない理由と、下がりきらない理由の両方を同時に含んでいる

ここからは、売上規模、赤字の水準、財務の安定性を順に分解し、
なぜ市場が強気にも弱気にもなりきれないのかを整理する。

売上1,467百万円という規模感 | 期待が先行しにくい理由はここにある

直近の売上高は 1,467百万円
まず、この数字をどう受け取るべきか。

IT関連銘柄と聞くと、多くの投資家は無意識に

売上数十億円規模、年率2桁成長

といったイメージを重ねる。

その期待値と比べると、BCCの売上規模はどうしても小さく見える。

ただし、ここで単純に「小さい」と切り捨てるのは早い。
重要なのは、この売上がどのビジネスモデルから生まれているかだ。

BCCの売上の約9割はIT営業アウトソーシング事業によるものだ。

プロダクトやSaaSのように、仕組みが勝手に拡張するモデルではない。
人を配置し、営業活動を代行することで売上が積み上がる。

このモデルでは、売上は急拡大しにくい。
同時に、急減もしにくい。

1,467百万円という数字は、成長初期というより、安定稼働フェーズに近い水準だ。

市場が成長ストーリーを描きにくい理由は、ここにある。

営業損失△98百万円の中身 | この赤字はどれくらい重いのか

次に、もっとも誤解されやすい赤字の話に入る。
直近の営業利益は △98百万円
営業利益率にすると △6.7% だ。

数字だけを見ると、赤字企業であることは事実だ。
だが、投資判断において重要なのは
「赤字か黒字か」ではない。

赤字の深さと、赤字の理由だ。

売上1,467百万円に対して、営業損失98百万円。
売上比で一桁%台に収まっている。

これは、構造的に破綻している企業の数字ではない。

費用構造を見ると、赤字の主因は

人件費の増加

採用関連費用

体制整備に伴う固定費

といった項目に集中している。

売上が崩れたわけではない。
原価率が跳ね上がったわけでもない。
先に人と組織を積んだことで、利益が後ろ倒しになっている状態だ。

このタイプの赤字は、市場から最も評価されにくい。
なぜなら、「いつ改善するのか」が数字で見えないからだ。

赤字が許容されている理由 | 株価が崩れない背景

それでもBCCの株価は、赤字企業として売り込まれているわけではない。

理由は二つある。

一つ目は、赤字の水準が浅いこと。
売上の数割を失うような赤字ではなく、改善余地が十分に残っている。

二つ目は、売上基盤が崩れていないこと。
営業アウトソーシングという性質上、既存取引が一気に消えるリスクは低い。

僕自身、過去に

赤字幅が拡大し続ける企業
売上が細りながら赤字を垂れ流す企業

を数多く見てきた。

それらと比べると、BCCは明確に違う。
危ない赤字ではないが、魅力的な赤字でもない
だからこそ、株価は中途半端な位置で止まっている。

財務体質から見た下値リスク | 致命傷になりにくい構造

最後に財務面を見る。
自己資本比率は 50%超
この数字は、小型グロースとしては決して悪くない。

過度な借入に依存しているわけでもなく、資金繰り不安が先行する状態ではない。

この財務体質が、赤字でありながら株価が崩れにくい最大の要因だ。

市場は、

この会社はすぐに詰むわけではない

という前提を共有している。

結果として、強気に買う理由もないが、恐怖で投げる理由もない。
この宙ぶらりんな評価が続いている。

今回の有価証券報告書は何を変えたのか | 評価軸が固定されたという事実

BCCは、「弱い」から評価されていないわけではない。
だが、強気で買われる理由もない。

その曖昧な位置に、ずっと置かれてきた。

今回の有価証券報告書は、この宙ぶらりんな状態を一気に好転させるものではなかった。
ただし、市場がBCCを見る物差しをはっきりさせた。これが最大の変化だ。

有報が示したのは未来ではなく現在

今回の有報を通して、

売上1,467百万円

営業損失△98百万円

という現在地は、より明確になった。

だが、ここに

新しい成長ドライバー
明確な黒字化時期
売上のジャンプ台

といった要素は示されていない。

これが意味するのは、市場が新しいストーリーを描く余地がないということだ。

短期資金が動く時、彼らは未来の数字を先取りする。
だが今回の有報は、未来を語らず、現在を整理した。

だから短期で株価は動かなかった。
これはIRの質の問題ではない。
IRの性格の問題だ。

赤字の説明が与えた安心感

一方で、今回の有報は「売られる理由」を増やしたわけでもない。

営業赤字△98百万円について、売上不振や需要減少といった説明は前面に出てこない。

人員増加、体制整備、先行投資。

赤字の理由は、あくまで内部要因だ。
この説明は、市場にとって重要だ。

もし赤字の原因が需要側にあるなら、評価は一段下がる。
だが今回は違う。

市場は「時間軸の問題であって、構造不全ではない」と理解した。
その結果、失望売りも起きなかった。
IRは上にも下にも振れなかった。

評価軸が一本化された意味

次に何を見ればいいかが明確になった。

今回の有報で、BCCの評価軸はかなりシンプルになった。

もはや

テーマ性、期待感、話題性

で評価される局面ではない。

見るべきポイントは三つに集約された。

売上1,467百万円規模が維持されるか。

営業赤字△98百万円が縮小に向かうか。

人件費と固定費の増加がどこで止まるか。

この三つが数字で確認できるかどうか。
それだけだ。

これは地味だ。
だが、投資判断としては扱いやすい。

僕がこのタイプのIRをどう扱ってきたか

経験ベースの話。

僕自身、これまで派手なIRで飛びついて痛い目を見たこともあるし、こうした地味な有報を無視して後悔したこともある。

このタイプのIRは、「今すぐ買え」というサインではない。
だが、準備を始める合図ではある。

評価軸が定まった銘柄は、条件が揃った瞬間に、一気に見直されることがある。

だから僕は、こういう有報が出た銘柄をウォッチリストから外さない。

今回のIRの位置づけ

株価に与えた現実的な影響は何か。

整理すると、今回の有価証券報告書は株価を直接押し上げたわけではない。

だが、評価が変わる条件を市場全体で共有させた。

これは、短期トレードには使いにくい。
中期投資には使える。

IRは、スタートの号砲ではなく、コース図を配った
そういう位置づけだ。

同業・類似銘柄との比較で見えるBCCの立ち位置

なぜ評価が宙に浮いたままなのか。

ここまで読んで、BCCの評価が中途半端な理由は、ある程度見えてきたはずだ。
だが、それでも感覚的に掴みにくい人も多いと思う。

そこでこの章では、市場が似た文脈で扱っている銘柄と並べる。
比較することで初めて、BCCの位置が輪郭を持つ

7039 ブリッジインターナショナルとの比較 | 黒字化が評価を一段上げる実例

ブリッジインターナショナルは、BCCと同じ営業アウトソーシング領域にいる。
だが、市場の扱いは明確に違う。

最大の違いは、すでに黒字で、利益が安定していることだ。

ブリッジIは、売上規模がBCCより大きく、営業利益率もプラス圏で推移している。
この事実が、市場評価を決定的に分けている。

アウトソーシングという同じ土俵でも、黒字か赤字かで、評価レンジは一段変わる。

ここで重要なのは、ブリッジIが成長株として評価されているわけではない点だ。
市場は「すでに稼げているアウトソーシング」として評価している。

BCCは、この一段下にいる。

つまり、黒字化すれば、評価の土俵には上がれる
ここは希望的観測ではなく、実例に基づく話だ。

4486 Unite and Growとの比較 | なぜ期待プレミアムが乗るのか

Unite and Growは、IT人材支援という近い領域にいながら、市場の扱いはかなり違う。

理由は明確だ。

プロダクト色とストック性がある。

Unite and Growは、単なる人材提供ではなく、IT環境の内製化支援という文脈で語られることが多い。

この違いが、将来の売上が積み上がるイメージを作る。
結果として、業績が多少不安定でも、期待が評価に織り込まれる。

BCCには、この期待プレミアムがない。
営業アウトソーシングは、どうしても単発・労働集約のイメージを引きずる。

ここで分かるのは、事業が悪いのではなく、語りにくいという点だ。
市場は、語れる物語にプレミアムを乗せる。

9338 INFORICHとの比較 | テーマと需給で動く銘柄との決定的な違い

INFORICHは、業績より先に株価が動く典型例だ。

モバイルバッテリーという分かりやすいテーマ。
設置台数、利用回数、海外展開。
数字以上に、イメージが先行する。

このタイプの銘柄は、短期資金が集まりやすい。
テクニカルが先に走り、後から業績が追いかけることもある。

BCCは真逆だ。
テーマ性が弱く、需給も軽くない。
だから短期で動かない。

この比較で重要なのは、BCCが劣っているという話ではないことだ。
評価される文脈が、根本的に違う。

三社比較から見えるBCCの本質 | 評価が止まっている理由

三社を並べると、市場が何を評価しているかがはっきりする。

黒字で安定していれば評価される。
ストーリーが描ければ期待される。
テーマと需給があれば先に動く。

BCCは、そのどれにも完全には当てはまらない。
だから評価が止まっている。

だが同時に、どこに近づけば評価が動くかも明確だ。

ブリッジIの方向に近づけば、黒字化で評価が上がる。
Unite and Growの方向に近づけば、事業の語り方次第で期待が乗る。

INFORICHの方向には行かない。
ここは割り切るべきだ。

テクニカルと需給が示すもの

Long-term stock price chart of 7376 BCC showing price trend, moving averages, and trading volume
Long-term price movement of 7376 BCC with key moving averages and volume

なぜBCCはレンジから抜けられないのか。

これまで事業環境、業績、IR、同業比較を見てきた。
ここまで来ると、チャートの形にも理由があることが分かる。

BCCの株価は、派手なトレンドを作らず、一定のレンジ内を行き来しやすい。
これは偶然ではない。
銘柄の性格が、そのまま需給に反映されている

出来高が増えない理由

短期資金が集まりにくいのはなぜか。

まず出来高に注目したい。
BCCは、決算やIRのタイミングでも出来高が急増しにくい。

理由は明確。
短期資金が好む条件を、ほとんど満たしていない。

テーマ性が弱い。

業績の変化が緩やか。

サプライズが起きにくい。

希薄化や大型イベントもない。

短期トレーダーは、値幅とスピードを取りに来る。
BCCは、そこに向いていない。

結果として、短期資金は寄り付かず、出来高は細いまま推移する。

これは悪材料ではない。
需給が荒れにくいという意味でもある。

移動平均線の位置関係

評価が固まっていないサインは、移動平均線と株価の位置関係にも出ている。

テクニカルで見ると、中長期の移動平均線を明確に上抜けて定着する場面が少ない。

これは、上値を追う資金が不足していることを示す。

一方で、急落して長期線を大きく割り込む場面も限られている。
売り叩く理由も乏しいからだ。

結果として、株価は移動平均線の周辺をうろつく。
評価が定まらない銘柄によく見られる値動きだ。

レンジが形成される本当の理由

「安心も期待も足りない」という投資家の声が、チャートに表れている。

BCCの株価レンジは、安心感と期待感のちょうど中間にある。
財務が致命的に悪いわけではない。
赤字も浅い。
事業もすぐには崩れない。

だから、下を叩く理由がない。

一方で、黒字化が見えているわけでもない。
成長ストーリーも強くない。
テーマもない。

だから、上を買う理由もない。
この両方が揃うと、株価は自然とレンジに収まる。

僕がこのチャートをどう扱うか | 経験からくる距離感

僕自身、この手のチャートを何度も見てきた。

焦ってブレイクを期待して入ると、だいたい時間だけが過ぎる。
退屈な展開に耐えられず、ポジションを手放した直後に動くことも多い。

だから僕は、こういう銘柄では
「動かない前提」で構える。

テクニカルは、今すぐのエントリーを示していない。
だが、条件が揃った時に動きやすい形は保っている。

テクニカルが変わる条件 | どこで需給が変化するのか

BCCのチャートが変わる瞬間は、はっきりしている。

赤字縮小が数字で確認された時。
出来高が増え、移動平均線を明確に上抜けた時。

これは、IR単体では起きない。
業績と需給が同時に動いた時だ。

その時、これまで様子見だった資金が動く。

3つの将来シナリオで考えるBCC | 評価が動く瞬間はどこにあるのか

ここまでの分析で、BCCが「今すぐ買われる銘柄」でも「今すぐ見切られる銘柄」でもないことは、はっきりした。

では、投資判断はどこで変わるのか。
それを曖昧にしたままでは、この記事を読む意味がない。

ここでは、

強気・中立・悪化

3つのシナリオに分けて、どの数字が引き金になるのかまで具体化する。

強気シナリオ | 赤字縮小が数字で確認された場合

強気に傾く条件は、意外と多くない。
むしろ、かなりシンプルだ。

売上が 1,467百万円規模を維持したまま、営業損失 △98百万円が明確に縮小する。
この2点が同時に確認された場合だ。

重要なのは黒字化そのものではない。

市場が最初に反応するのは、「赤字が半分になった」「赤字率が一桁から数%に下がった」といった改善の兆しだ。

この段階に入ると、市場はBCCを「赤字企業」ではなく「改善途上の企業」として扱い始める。

ここで起きやすいのは、レンジの上限が切り上がる動きだ。
急騰ではないが、これまで抑えられていた上値が一段上に移る。

僕自身、このパターンを何度も見てきた。
地味だが、最も再現性が高い。

中立シナリオ | 現状維持が続いた場合

最も可能性が高いのが、このシナリオだ。

売上は横ばい。
赤字も大きくは縮まらない。
だが、悪化もしない。

人件費増加は続くが、採用ペースは鈍化する。
結果として、営業損失は △80〜100百万円前後で推移する。

この場合、株価は引き続きレンジ内で推移する可能性が高い。

上に行く材料もないが、下を叩く材料もない。
テクニカル的にも、移動平均線の周辺を行き来する動きが続く。

投資判断としては、積極的に買う理由はない。
だが、売って離れる理由も弱い。

時間を使う銘柄だ。

悪化シナリオ | 評価が一段下がる条件

最も警戒すべきは、赤字の拡大ではない。

売上が 1,467百万円を明確に割り込むこと。
これが起きた場合だ。

営業アウトソーシングという事業特性上、売上減少は「案件喪失や稼働率低下」を意味する。

この状態で赤字が続けば、市場は

先行投資型の赤字ではなく
需要不振型の赤字として

評価を切り替える。

この評価転換が起きると、これまで守られていたレンジの下限が崩れる。
テクニカルも弱気に傾く。

このシナリオでは、中立から撤退判断に変わる。

3シナリオから見えること | 判断基準はすでに揃っている

3つを並べると、判断基準は驚くほど明確だ。

売上が維持され、赤字が縮小すれば、評価は上に動く。
売上が横ばいで赤字も変わらなければ、評価は動かない。
売上が崩れれば、評価は下に動く。

テーマでも、期待でもない。
数字そのものがスイッチになる。

今回の有価証券報告書は、この判断基準をはっきりさせた。
だから意味がある。

僕が今この銘柄をどう扱うか | 経験から導いた距離感

僕は今、BCCを「仕込む銘柄」とは見ていない。
だが、「切る銘柄」とも見ていない。

ウォッチリストの中で、最も冷静に追う枠に置いている。

派手さはない。

だが、条件が揃った時に、市場が静かに評価を変えるタイプだ。

今回のIRを踏まえた最終的な投資判断 | BCCはどんな投資家に向いているのか

ここまで読み進めてくれた人なら、今回の有価証券報告書が「株価を一変させるIR」ではないことは、すでに分かっているはずだ。
だが同時に、このIRが無意味だったわけでもない。

判断軸をはっきりさせた

それが最大の価値だ。

ここでは、これまでの分析をすべて統合し、投資判断を言語化する。

今回のIRは何を変えたのか | 短期材料ではなく、地図を描いたIR

今回の有報で確認できたのは、

売上 1,467百万円
営業損失 △98百万円

という事実だ。

この数字自体は、市場にサプライズを与えるものではない。
だから短期で株価が跳ねる理由にもならない。

だが、売上が維持されている一方で、利益構造がまだ整っていないことが、改めて数字として明確になった。

これにより、今後の決算で「何が起きれば評価が変わるのか」「何が起きたら評価が下がるのか」が、はっきりした。
このIRは、答えではなく、地図だ。

投資判断 | 僕のスタンスは中立だ

結論から言う。
僕の現時点でのスタンスは 中立 だ。

理由はシンプルだ。

上に行く条件は見えている。
だが、まだ揃っていない。

下に行く決定打もない。
だが、安心できる段階でもない。

この状態で無理にポジションを取る必要はない。

どんな投資家に向いているか

この銘柄が向いているのは、短期で値幅を取りたい人ではない。

向いているのは、

決算を定点観測できる

半年から1年待てる

数字が変わった瞬間に動ける

こういうタイプの投資家だ。

いつ判断を変えるのか

判断を変えるタイミングは明確だ。

売上を維持したまま、営業損失が明確に縮小した時。

この兆しが数字で出た瞬間、中立は「やや前向き」に変わる。

逆に、売上が1,467百万円を割り込み赤字が続くなら、中立は撤退に変わる。

どこで買うのか、どこで見送るのか

今のチャート水準で無理に入る理由はない。

入るとすれば、業績改善が確認された後、出来高を伴ってレンジを上抜けた場面だ。

それまでは、待つ。

なぜ今は様子見なのか

理由は一つだ。

この銘柄は、期待で買われる銘柄ではない。

数字が変わってから評価が動く銘柄だ。

だから、今は観察が最適解になる。

この銘柄とどう付き合うか

僕なら、決算ごとに

売上
営業損失
人件費の動き

だけを淡々と確認する。

ストーリーは作らない。
期待もしすぎない。
数字が動いたら、動く。

最後に、このIRをどう使うか

今回のIRは、買い材料ではない。
だが、判断材料としては十分すぎる。

有報を読むのが面倒な人にとって、ここまで分解できていれば、もう迷う必要はない。

BCCは、今すぐ儲かる銘柄ではない。
だが、数字が変わった瞬間に一気に評価が変わる可能性を秘めている。

だからこそ、今は静かに、だが真剣に見ておく価値はある。

ここまで読んでくれたなら、この銘柄をどう扱うか、もう自分の中で答えは出ているはずだ。

7376 BCC株式会社 | 会社概要(参考情報)

項目内容
商号BCC株式会社
大阪本社〒541-0042
大阪府大阪市中央区今橋2丁目5番8号 トレードピア淀屋橋9F
東京本社〒101-0021
東京都千代田区外神田6丁目15番9号 明治安田生命末広町ビル9F
イノベーションセンターリスキリングラボ
〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目8番10号 グランデ秋葉原2F
設立2014年1月20日
創業2002年3月6日
資本金4.68億円
事業内容IT営業アウトソーシング事業
ヘルスケアビジネス事業
従業員数256人(2025年10月1日現在)
代表者代表取締役社長 伊藤 一彦
取締役岡林 靖朗
安原 弘之
小出 契太
江越 博昭
松嶋 依子
監査役藤 進治
森重 洋一
塚本 純久
許認可労働者派遣事業
有料職業紹介事業
プライバシーマーク認定
電気通信事業
適格請求書発行事業者登録番号T4120001181633
グループ会社グッドデジタル株式会社
ロボタスネット株式会社

引用:会社概要 | BCC株式会社(執筆時点)

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本記事は、特定の銘柄を推奨する目的で作成したものではありません。投資にはリスクが伴います。掲載内容は市場分析と筆者の見解をまとめたものであり、ご自身の状況やリスク許容度に応じて、慎重に投資判断を行いましょう。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学経済学部卒業、FP2級、証券外務員一種、宅建士取得。証券アナリスト(CMA)、テクニカルアナリスト(CMTA)保有。 FOREX Dealing Crop.代表、株式投資家兼為替トレーダー、不動産投資家。2007年に大学入学と同時にネット証券の口座を開設し、株式投資とFXを始める。投資開始当初は、リーマンショックの渦中で信用取引の短期売買を繰り返し、アルバイトで貯めた56万円を失う「大損」を経験。家庭教師のアルバイトをしながら株式投資とFXを続け、学費を投資で稼ぐようになる。そんな投資経験を活かして大手証券会社に就職し、自社資金を運用するプロップ・ディーラーとして10年以上勤務。現在は、専業トレーダーとして、株式投資・FXでサラリーマンの平均年収の3倍以上の収益を上げつつ、不動産投資家としても活動。東京・大阪を中心にマンション投資を行う。自身の投資で得た経験と専門知識をもとに投資の難しさや面白さ、ノウハウを世に広めていきたいと考え、FOREX Dealingを立ち上げ、情報発信を行っている。

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