日本の少子高齢化亢進の現状と対策についての一考察

目次

少子高齢化が急速に進む現状

「日本の少子高齢化が進行している」と言われはじめて、何年が経過しただろうか。

市中では、「もはや、手遅れだ。」という意見も数多耳にするが、ここで少子高齢化を食い止めて、長らく続いた人口減少トレンドを転換させねば、日本に明るい未来は無い。

さて、各論に入る前に、まずはキーワードから見ていきたい。

3つのキーワード

合計特殊出生率

合計特殊出生率は、「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」だ。

厚生労働省の公式HPによると、次の2種類があるとのこと。

「期間」合計特殊出生率

ある期間(1年間)の出生状況に着目したものだ。ある年の各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計したもの。
女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」であり、年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。

「コーホート」合計特殊出生率

ある世代の出生状況に着目したもので、同一世代生まれ(コーホート)の女性の各年齢(15~49歳)の出生率を過去から積み上げたもの。「その世代の出生率」である。

高齢化率

総人口に占める65才以上人口の割合だ。ちなみに、令和3年10月1日時点の高齢化率は、28.9%だ。

(3,621万人 / 1億2,550万人)= 約28.9%

日本政府 国土交通省HP『国土交通白書2020』

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1111000.html

『国土交通白書2020』のデータを見ると、お年寄りの割合「高齢化率」が急激に伸び続け、現役世代の割合・人数が減少傾向にあるという実態が、よく分かりますね。

人口ピラミッド

男女別に年齢ごとの人口を表したグラフだ。

中央に縦軸を引き、底辺を0歳にして頂点を最高年齢者として年齢を刻む。

そして、左右に男女別・年齢別の人口数(若しくは割合)を棒グラフで表す。

出典:PopulationPyramid.net Population Pyramids of the world in 2023

https://www.populationpyramid.net/

これは・・・酷い形ですね。
完全にひょうたん型になっています。

典型的な少子高齢化社会の人口ピラミッドだな。
学校の教科書に出てくる、少子高齢化社会の「お手本」のような形だわ。

厚生労働省による「将来推計」

このまま少子高齢化が進むと、トレンドが自然と変わることはなく、自体は急速に悪化していく見通しだ。

日本政府としては、「推計」はできるのだが・・・

そのトレンドを変えるための政策を作り、実行する力が・・・今の日本には足りない。

出典:日本政府 内閣府HP『高齢化の状況』

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_1.html

「高齢化率」のトレンドを見ると、まるで「仕手株」の株価みたい。ストップ高、何連チャンしているんだろう!?

イメージとしては、確かに仕手株の暴騰銘柄

マジでやばいよな。
トレンドを真逆にしないと・・・。

日本国民が負う「4つ目の義務」として、「子供を産むこと」を加えるとか、それに近い強引な手法を使わないと・・・もう、無理なんじゃないか?

そうですよね・・・。

義務とまでいかなくても、日本が、北欧を越える超・超福祉国家になって、「子供を産みたい!」と心から思えるよな環境作りは、絶対に必要ですよね。

北欧諸国やフランスは、少子高齢化社会を克服したらしい。

世界を見渡せば、そういった成功事例もあるんだから、日本政府は、自分だけで問題解決しようとせず、諸外国の協力も得ながら問題解決に全力を注ぐべきなんじゃないか。

世界各国の「少子高齢化社会」克服事例

確かに視野を広げて世界を見渡せば、少子高齢化を克服したか、克服できそうなところまでトレンド転換させ、社会経済を持ち直した国々が存在する。

ここでは、そういった国々の事例を見ていこうと思う。

フランス

  • 家族給付が手厚い
  • 第3子以上の子を持つ家庭を特に優遇
  • 1990年代以降、保育の充実に注力して奏功
  • 子育てをしながら働きやすい環境作りにも注力

スウェーデン

  • 40年近くに渡って子育て世代への経済支援、子育てと就労等の両立支援を実施
  • 児童手当、両親保険の充実による育児休業制度の浸透支援が特徴
  • 就学前の子供向け学校の開校
  • その他、男女平等を基礎的概念とした、社会全体で子供を育む制度整備と風土の醸成

フランスやスウェーデンの成功事例を見ると、やはり国が一定程度、風土や制度設計の面で積極的に介入していかないと。

「個々の家庭の判断に丸投げ」では、問題解決に結びつかないでしょうね。

そうだな。

日本人は、お役所が家庭に介入してくるのを嫌う傾向があるようにも感じる。そういった国民性も、この問題の解決を難しくしているような気がするな。

次章のように「合計特殊出生率」だけを切り取ってみれば、日本も一時よりも少し回復してきているんですよね。

でも、人口ピラミッドは悲惨な状態。合計特殊出生率だけを切り取った議論には、意味がないですよ。

合計特殊出生率の推移

出典:日本政府 内閣府HP『人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題』

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s3_1_6.html

他の主要先進国や北欧諸国と比べ、大きく水をあけられた日本。

日本の合計特殊出生率の推移だけを切り取って、実績をPRするかのような政府の言動があるとすれば、その主張をそのまま鵜呑みにしてしまわないよう、注意する必要がある。

世界全体のトレンドと比べて、日本のトレンドがどうなっているのか、そして、日本の水準が、世界各国と比べて相対的にどの程度の位置にあるのか・・・あくまでも、「相対評価」が肝心だ。

「世界経済」における日本の競争力を高めていくには、「競争」の文字面の通り、日本が他国よりも優れている必要がある。

まとめ

  • 日本は、少子高齢化社会を前提とした制度設計になっていない
  • 賦課方式の年金のように、現役世代が高齢者を支える仕組みになっている
  • 日本人の寿命を「短命化」させるのは、取り得ない非現実的な選択肢
  • つまり、「支える側の人数」を増やすのが、現行制度を維持する上で欠かせない
  • 諸外国の成功事例を見倣い、社会全体で子育て世代を応援する取り組みを推進すべき

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この記事を書いた人

Originally from the United States, I 've studied abroad at a Japanese university. I'm interested in topics such as real estate investment and economic news. I have experience working at a US securities company and a real estate company, and I write articles for ”FOREX Dealing” based on that work experience.

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