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株で損したお金はどこへ行くのか 個人投資家が支払う側に固定される理由

Money flowing from an individual investor to others during stock trading, illustrating how lost money moves through the market

株で負けたお金は、一体どこへ向かうのか。

証券口座の残高は確かに減っている。
だが、そのお金が世界から消えたわけではない。

誰かが受け取っているのか。
もしそうなら、それはいつなのか。
自分が売った、その瞬間なのか。

株をやっていれば、一度はこの疑問に行き当たる。
むしろ、そこを一度も考えずに投資を続けている人のほうが少ないはずだ。

僕自身、投資を始めたばかりの頃に、ほぼ全財産だった56万円を一気に失っている。
大学生の身分で、信用取引の短期売買。
今思えば、勝てる理由はほとんどなかった。

それでも当時の僕は、なぜ自分だけが負けたのかが分からなかった。
相場が悪かったのか。
運がなかったのか。
それとも、どこかで誰かが得をしたのか。

この違和感は、金額以上に長く残った。

株で負けたお金は、たまたま運の良い誰かの利益になる。
そう考えると、投資はギャンブルに見える。
だが、市場はそこまで単純ではない。

音も立てず、派手な演出もなく、
気づいたときには結果だけが残る。

なぜ自分が買った直後に株価が止まるのか。
なぜ好材料が出たのに下がるのか。
なぜ板を眺めていただけなのに、気づけば負けているのか。

これらは偶然で片づけられがちだが、
実際には、負けるお金が流れやすい方向というものがある。

この記事では、株式投資で損したお金がどこへ向かいやすいのか。
そして、その流れの中で、個人投資家がどんな位置に立たされやすいのか。
僕自身の失敗と、長年マーケットで見てきた実感をもとに掘り下げていく。

短期売買を続けているのに資産が増えない人。
勝った記憶より、負けた感覚のほうが強く残っている人。
相場に対して、どこか納得できない違和感を抱えている人。

もし一つでも当てはまるなら、
この話は無関係ではないはずだ。

株で負けた理由を、相場や運のせいにしなくなるかもしれない。
そして次に、同じ場所で負ける可能性を一つ減らせるかもしれない。

では、株で損したお金は、実際にはどこへ行くのか。
その話から始めよう。

目次

市場からお金は消えないという前提を持てているか

株で負けたとき、多くの人は無意識にこう感じている。

自分のお金が相場に飲み込まれて消えた。

だが、これは感覚としては自然でも、現実とは少し違う。
株式市場はブラックホールではない。
誰かが損をした金額と、誰かが得た金額は、どこかで必ずつながっている。

この前提を持てるかどうかで、その後の投資人生は大きく分かれる。

株式市場は巨大な資金の受け渡し場だ

株式市場は、お金を増やしてくれる場所ではない。
正確に言えば、お金が移動する場所だ。

ある人が買い、ある人が売る。
この売買が成立した瞬間、株とお金の持ち主が入れ替わる。

ここで重要なのは、株価が上がったとか下がったとかは、その後の話だという点だ。
売買が成立した時点では、お金は必ず誰かの手元に移っている。

自分の口座から消えたお金は、同じ瞬間に、誰かの口座に現れている。

この当たり前の事実を実感として理解できていない人は意外と多い。

負けた瞬間ではなく、負けが確定した瞬間に移動する

ここで、よくある誤解がある。
自分が損をした瞬間に、相手が儲かった。
そう考えてしまうことだ。

実際は、もう少しズレがある。

例えば、

自分が高値で買った。
その後、株価が下がった。

この時点では、まだ誰も得をしていない。
含み損は、あくまで評価上の話だ。

だが、我慢できずに売った瞬間。
ここで初めて、損が確定する。

このとき、その株を買った相手がいる。
もしくは、少し前に売っていた誰かがいる。

損したお金は、この確定のタイミングで、過去か未来のどこかにいる相手と結びつく。
市場は、その場で勝ち負けを決めているようで、実は時間をまたいで精算している。

ゼロサムという言葉が思考停止を招く

株はゼロサムだ。
この言葉を聞いたことがある人は多いだろう。

だが、この言葉は便利すぎる。
そして、危険でもある。

ゼロサムだから仕方ない。
誰かが勝てば、誰かが負ける。

ここで思考が止まってしまう。

実際の市場では、誰が、どのタイミングで、どんな立場で参加しているか。
それによって、勝ちやすさは大きく変わる。

全員が同じ条件で殴り合っているわけではない。
情報量も、資金量も、時間軸も、まったく違う。

ゼロサムという言葉で一括りにしてしまうと、この差が見えなくなる。
結果として、自分がどの位置で戦っているのかを考えなくなる。

市場は平等ではなく、均一でもない

株式市場は平等だと思われがちだ。
誰でも口座を開ける。
同じ株を同じ値段で買える。

表面だけ見れば、確かにそう見える。

だが、実際には、見えている情報も、判断に使っている材料も違う。

板の見方。
注文の出し方。
ポジションの持ち方。
そして、耐えられる時間。

これらが違えば、同じ値段で売買しても、結果はまったく変わる。

負けたお金は、たまたま運が良かった人に渡るわけではない。
受け取りやすい場所にいる人へ、静かに流れていく。

この流れを知らずに売買を続けると、気づかないうちに、常にお金を差し出す側に立たされる。

次のセクションでは、その流れが具体的にどこへ向かいやすいのか。
そして、なぜ個人投資家が下流に立ちやすいのか。

もう一段、踏み込んで話していこう。

損したお金がまず流れ込みやすい場所

株で負けたお金は、ふわっと誰かの懐に入るわけではない。
かなり偏った方向へ、何度も何度も流れやすい先がある。

そして多くの個人投資家は、その存在を意識しないまま売買している。
意識しないというより、そもそも見えない構造になっている。

まず最初に押さえておいてほしいことがある。

株式市場では、売買が成立した時点で必ず誰かが有利な立場にいるということだ。
それは必ずしも、ニュースで名前が出るような大口投資家とは限らない。

スプレッドという最初の支払い先

最も分かりやすく、かつ確実にお金が流れる先がある。
それがスプレッドだ。

売値と買値の差。
普段は意識されにくいが、短期売買をすればするほど効いてくる。

例えば、買った瞬間に含み損から始まる取引。

これは気分の問題ではない。
仕組みとして、そうなっている。

この差は誰の利益になるのか。
答えはシンプルで、市場に流動性を提供している側だ。

個人投資家は、基本的に流動性をもらう側になる。

すぐに売りたい。
すぐに買いたい。

その欲求を満たす代わりに、見えないコストを支払っている。
短期売買を繰り返すほど、勝敗とは関係なく、この支払いは積み上がっていく。

負けた理由が相場ではなく、回転数そのものだった。
こういうケースは、実際かなり多い。

板の奥で待っている側に回っていない

次に大きいのが、板の使い方の差だ。

多くの個人投資家は、今すぐ約定させたいという前提で注文を出す。
成行、もしくは近い指値。

一方で、お金を受け取りやすい側は、
今すぐ約定しなくても困らない。

むしろ、誰かが焦って投げてくるのを待っている。

この違いは、売買を一度や二度しただけでは実感できない。
だが、回数を重ねるほど効いてくる。

自分はいつも追いかける側。
相手はいつも待つ側。

この立ち位置の差が、最終的にどちらにお金が残りやすいかを決めている。

ニュースに反応する側と仕掛け終わった側

好材料が出た。
決算が良かった。
上方修正が出た。

ここで飛びつくのは、ほぼ例外なく個人投資家だ。

だが、その情報は突然生まれたものではない。
数字は事前に積み上がっている。
業績の流れは、もっと前から見えている。

すでに仕込んでいた側がいて、ニュースは、その結果として表に出てくる。
この時点で買うという行為は、流れの上流ではなく、かなり下流に立つことを意味する。

もちろん、そこからさらに上がることもある。
だが、リスクとリターンのバランスは明らかに変わっている。

損したお金は、ニュースを見てから動いた人から、
すでに動き終えていた人へ流れやすい。

これは不公平でも陰謀でもない。
単に、時間軸の違いだ。

個人投資家同士で奪い合っている感覚の罠

ここで多くの人が勘違いする。
自分は他の個人投資家と戦っているのだと。

だが、実際には、個人投資家同士で直接奪い合っている場面はそれほど多くない。

負けたお金は、構造的に有利な場所にいる側へ、
少しずつ集まっていく。

気づいたときには、自分は常に支払う側に回っていた。
そういう状態が続く。

これが、勝ったり負けたりを繰り返しているのに、
資産だけが増えない正体だ。

次のセクションでは、なぜ個人投資家がこの立ち位置から抜けにくいのか。
そして、どこで判断を誤りやすいのか。

さらに踏み込んで話そう。

なぜ個人投資家は支払う側に回りやすいのか

株式投資で長く勝ち続けている人は少ない。
理由はシンプルで、個人投資家は構造的に支払う側に立たされやすいからだ。

これは能力や努力の問題だけではない。
僕自身、知識が増え、売買経験を積んでも、しばらく同じ場所で負け続けた。
今振り返ると、負け方には一貫した癖があった。

ポジションを持った瞬間に視野が狭くなる

これは僕が最も長く引きずった問題だ。

ポジションを持つ前は冷静に見えている。
だが、実際に株を買った瞬間から、見える景色が変わる。

自分に都合の良い情報だけを拾う。
含み損を見ると理由を探す。
含み益が出ると、早く確定したくなる。

これは意志の弱さではない。
人間の反応として自然だ。

だが市場では、この自然な反応そのものがコストになる。
焦って成行で売る。
予定より早く利確する。
結果として、スプレッドと機会損失を何度も支払う。

僕はこの癖に気づくまで、同じ負け方を繰り返した。

時間に追われている時点で立場は弱い

個人投資家は時間に制約がある。
これは想像以上に大きい。

会社員時代の僕は、仕事の合間に株価を確認し、昼休みに注文を出し、引け前に慌ててポジションを閉じていた。
この時点で、待つ側にはなれない。

今すぐ売らなければならない。
今すぐ決めなければならない。

この状況では、板の奥で静かに待っている側に勝つのは難しい。
専業になってから、時間制約が消えただけで、負け方が明らかに変わった。

勝率ではなく、支払う回数が減った。
これが一番大きい。

少額だから大丈夫という勘違い

投資を始めたばかりの頃、僕はよくこう考えていた。

まだ金額が小さいから。
勉強代だと思えばいい。

だが、市場は金額を見て対応を変えない。
同じ板。
同じルール。
同じ構造だ。

少額でも、悪い癖はそのまま染みつく。

むしろ、少額だから雑になる。
少額だから振り返らない。

この状態で売買回数だけが増えると、負けたお金は、最短ルートで支払う側へ流れていく。

僕が56万円を失ったとき、一回の負けは小さかった。
積み重ねた結果、戻れなくなった。

勝とうとするほど動きすぎる

勝ちたい。
この感情自体は悪くない。

だが、勝とうとするほど、エントリーが増える。

判断が早まる。
何もしない時間が怖くなる。

この状態は、市場にとっては非常にありがたい。

動けば動くほど、支払いは発生する。
勝ちにいっているつもりで、実際には、市場に参加料を払い続けている。

ここに気づいたとき、僕は売買回数を意識的に減らした。
結果として、収支より先に精神的な消耗が減った。

次では、どうすれば支払う側から抜け出しやすくなるのか。
僕が実際に変えた判断基準と、やめたことを中心に話していく。
ここから、一番現実的な話になっていく。

支払う側から抜けるために僕が実際にやめたこと

勝つために始めたことより、やめたことのほうが結果に直結した。

これは後付けの理屈ではなく、僕自身の損益曲線を見返してはっきり言える実感だ。
専業になる前後で収益の安定度が変わった理由は、手法ではなく行動の削減にあった。

なんとなくのエントリーを完全にやめた

以前の僕は、値動きが気になった時点でエントリーしていた。

上がりそうだから買う。
下げ止まりに見えるから拾う。

理由は毎回それなりに用意していたが、再現性はなかった。

この状態での売買回数は月に300回前後だった。
勝率は5割前後。

それでも手数料とスプレッドを引いた後は、年単位で見ると右肩下がりだった。

そこで、エントリー条件を数行で書けない取引はやらないと決めた。
条件を書けない取引は、振り返れない取引だからだ。

このルールを徹底した結果、月の売買回数は80回程度まで減った。
勝率はほぼ変わらない。
だが、トータルの支払い額が目に見えて減った。

ポジションを持たない時間を仕事に変えた

昔の僕は、ポジションを持っていない時間を無駄だと感じていた。
だから、常にどこかでエントリーしていた。

この発想を完全に捨てた。
何もしない時間は、監視と記録に使う。
板を見て終わりではなく、なぜ動いたかをメモに残す。
その日は触らないと決めた銘柄も、必ず値動きは追う。

この切り替えで変わったのは、利益より先に疲労だった。
以前は、引け後に判断の是非が頭から離れなかった。
今は、ポジションがない日は精神的な消耗がほぼない。

結果として、判断が雑になる日が激減した。
これが支払い側から抜ける第一歩だった。

利確を早める癖をやめた

含み益が出た瞬間に安心してしまう。
これは典型的な負け癖だ。

僕も長く、この癖に支配されていた。
5,000円の含み益で利確し、
その後に3万円伸びる。
このパターンを何度も見てきた。

そこで、利確は感情では決めないと決めた。
エントリー時に出口を決める。
想定外の動きが出ない限り、途中で変えない。

こう変えるだけで、1回あたりの平均利益額が約1.6倍になった。
勝率は下がったが、トータルでは明らかに改善した。

小さな負けを軽視するのをやめた

以前は、1回の負けが数千円なら深く考えなかった。
だが、損益を並べると違和感が出る。

同じような負けが、同じ時間帯に集中している。
同じ判断ミスが、何度も繰り返されている。

そこで、負けた取引は金額に関係なく全て記録した。
理由を書けない負けは、次回は禁止。
これを続けた結果、無意識の支払いが減った。

負け額より、負け方を潰す。
これができるようになってから、資金曲線の角度が変わった。

勝ちに行く意識を捨てた

勝とうとすると、どうしても動きすぎる。
これは何年やっても変わらない人間の性質だ。

だから僕は、今日は支払わない日でいい。
この基準に切り替えた。

結果として、月単位の収支は安定し、
大きく崩れる月が消えた。

支払わない日を積み重ねる。
その延長線上に、勝っている月がある。

次のセクションでは、それでも個人投資家が再び支払う側に戻ってしまう瞬間について話す。
ここを知っているかどうかで、長期の結果は大きく変わる。

勝てていたはずの月に崩れ始めた実体験

一度、株で勝てる感覚をつかんだあとに崩れた経験がある。
それは大きな失敗をした日ではなく、むしろ順調だった月の後半だった。

当時はデイトレード中心で、月初から利益が積み上がっていた。
月の前半で20万円ほどのプラス。
それまでの平均月利を明確に上回っていた。

この時点で、相場がうまく見えていると錯覚していた。

月の後半で変わったのはエントリーの質だった

具体的に何が変わったのか。
まず、エントリーの根拠が薄くなった。

月前半の取引履歴を見ると、
・前日高値付近での出来高増加
・板の厚みが急に変わった価格帯
・寄り後の押し目形成

こうした条件が揃った場面だけで入っていた。

ところが月後半になると、
・朝の気配が強そう
・直近で上がっている
・他の銘柄も動いている

この程度の理由でエントリーしていた。
自分では同じ判断をしているつもりだったが、実際には基準が下がっていた。

利益が出ていることが判断を早めていた

もう一つ変わった点がある。
売却判断が明らかに雑になった。

月前半は、
・想定した価格帯まで持つ
・途中で逆行してもルール内なら我慢する

これができていた。

月後半は違った。
含み益が出た瞬間に売る。
少し逆行するとすぐに切る。

結果として、利益は小さく、損失は変わらない。
トレード単位の期待値が下がった。

原因ははっきりしている。
月トータルで勝っているという安心感が、
一回一回の判断を軽くしていた。

なぜ判断が乱れたのか

理由は技術不足ではない。
相場環境でもない。

問題だったのは、その月はもう十分勝っているという意識だった。

この意識があると、
・負けたくない
・今の利益を減らしたくない
この感情が先に立つ。

その結果、本来取るべきリスクを取らず、取らなくていい場面でエントリーする。
判断が乱れたのではなく、判断の基準が別物にすり替わっていた。

結果として何が起きたか

月後半だけを切り出すと、取引回数は増えているのに、利益はほとんど増えていなかった。
さらに悪いことに、その状態が翌月にも持ち越された。

勝っている感覚は残り、判断の質だけが落ちた状態で売買を続けた。
ここで、一度勝てた人が再び支払う側に戻る。

これは一気に崩れるのではない。
静かに、気づかないうちに戻る。

この経験から得た教訓

勝っている月ほど、判断は厳しくしなければならない。
月単位の収支が良いかどうかと、一回のエントリーが正しいかどうかは別だ。

この区別が曖昧になった瞬間、勝っている人でも支払う側に戻る。

ここまでが、僕が株式投資で実際に崩れた過程だ。

次は、この状態に戻らないために今も続けている一つの具体的な習慣について書く。

支払う側に戻らないために今も続けている唯一の習慣

ここまで読んで、こう思った人もいるはずだ。
結局、意識の問題ではないのか。
精神論なのではないか。

違う。

僕が今も続けているのは、気合でも我慢でもない。
数字で判断を縛る、極めて実務的な習慣だ。

毎朝、エントリー条件を紙に書いてから相場を見る

これは今も続けている。
場中に考えることはしない。

寄り前に、その日の相場環境を確認する。

前日のTOPIXの動き
日経平均先物の夜間レンジ
前日比での出来高の偏り

例えば、指数が前日比マイナス0.8%で寄り付き。
前日大引けからの先物が下方向で推移。
この場合、その日は基本的に買わない。

そのうえで、今日はどの条件が揃えば入るのかを紙に書く。

価格帯
出来高
板の変化

書けなかった日は、その日は取引しない。
これだけで無駄な支払いが激減した。

月の途中でも過去20取引を必ず見直す

以前は、検証は月末にまとめてやっていた。
これをやめた。

今は、直近20取引だけを見る。
勝ち負けは関係ない。

見るのは次の点だけだ。

エントリー理由が明確か

想定外の動きで逃げていないか

利確と損切りの判断が事前と一致しているか

例えば、20取引中5件で理由が曖昧なら、その時点で翌日は取引量を落とす。
判断が鈍っているサインだからだ。

これを始めてから、月後半の失速がほぼ消えた。

取引回数に上限を設けている

これは専業になってから強く効いた。
以前は一日20回以上売買する日もあった。

今は、一日最大5回までと決めている。
条件が揃わなければ0回でもいい。

この制限を入れてから、成行注文は激減した。
板を待つ時間が増えた。

結果として、一回あたりの平均損益が安定した。
勝率ではなく、支払う回数が減った。

月単位の収支を見ない期間を作った

これが最も大きかった。
月途中の合計損益を見ない。

以前は、今月はいくら勝っているかを常に意識していた。
これが判断を歪めていた。

今は、月末まで合計を見ない。
見るのは一回一回の判断だけだ。

勝っている月でも守りに入らなくなった。
負けている月でも無理に取り返さなくなった。

習慣が変わると負け方が消える

この習慣を続けて分かったことがある。
勝ち方は劇的には変わらない。
だが、負け方が消える。

大きく崩れる月がなくなる。
理由の分からない取引が減る。
支払う側に戻るきっかけが消える。

これが、僕が今も続けている唯一の習慣だ。

次は最後に、株式投資で損したお金がどこへ行き、自分はどの位置に立つべきなのかを一度整理して終わろう。

株で損したお金が流れた先を実感した一日

株で損したお金がどこへ行くのか。
この問いに、頭ではなく体で理解した日がある。

それは専業になって数年目。
指数は方向感がなく、日経平均は前日比プラス0.3%前後を行き来していた。
個別株は材料難で、出来高も全体的に細っていた。

その日は、前場で既に2回負けていた。

合計の損失はマイナス8,000円ほど。
金額としては、かなり小さい。

だが、内容が悪かった。


その日の最初のミスは焦りだった

朝一で監視していた中型株が、寄り後に急騰した。
出来高は前日比で約3倍。
板を見ると、上に薄く並んだ売りを一気に食っていた。

本来なら見送る場面だった。

寄り付きから5分以内の急騰は、僕のルールでは触らない。
だが、その日は前日までの連勝が頭に残っていた。

少しなら取れる。

そう判断して、成行で買った。

結果は分かりやすい。
高値をつけた直後に反落。
板が一気に厚くなり、逃げ場がなくなった。

損切りはマイナス4,500円。
この時点で、完全に自分の判断ミスだと分かっていた。

取り返そうとした取引で支払いが確定した

問題はその後だ。
一度負けると、相場が違って見える。

次に入ったのは、別の小型株だった。

理由は単純で、さっきより動いていたから。
材料は確認していない。
チャートも浅くしか見ていない。

ここで入った価格は、その日の高値圏だった。

買った直後に、出来高が急減。
板の厚みも変わらない。
それでも少し待てば戻ると思った。

結局、戻らなかった。
損切りはマイナス6,000円。

この2回の取引で、合計マイナスは約1.1万円になった。

そのとき誰が得ていたのか

引け後に板を見返した。
最初に飛びついた中型株は、朝の急騰で売り抜けた注文が集中していた。

出来高の増加は、新規の買いではなく、すでに仕込んでいた側の売却だった。

僕は、その出口を受け取った側だった。

次の小型株も同じだ。
高値圏で買い、流動性を提供し、すぐに手放した。

僕が失った1.1万円は、市場全体に溶けたわけではない。
焦って飛びついた瞬間に、待っていた側へ渡っていた。

この一日で分かった決定的なこと

負けた理由は、相場環境でも銘柄選びでもない。

自分が、支払う役割に自ら回っただけだ。

急いで約定させたい。
今すぐ取り返したい。
この感情を持った瞬間、お金の行き先はほぼ決まる。

この日以降、僕は負けた日の売買履歴を必ず保存している。
なぜその場面で待てなかったのか。
なぜ見送れなかったのか。

答えは毎回似ている。

時間に追われた。
感情で動いた。
ルールを省略した。

ということ。

株で損したお金の行き先は選べる

株で損したお金は消えない。
そして、奪われるわけでもない。

自分が、どの立場で売買したかによって、
行き先が決まる。

待つ側にいるか。
追いかける側にいるか。

その違いだけだ。

この記事で伝えたかったのは、勝ち方ではない。
支払わない立ち位置の話だ。

ここに立てるかどうかで、株式投資の結果は、長期で大きく変わる。

これが、僕が市場で学んだ、最も実感のある答えだ。

2026年相場で勝つために | 面白そうな銘柄たち(番外編)

番外編僕はこんな銘柄が「面白そう」だと思っている。

監視銘柄にいれてみてはいかがだろうか?

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ちなみに、2025年10月28日に「短期投資の銘柄戦略カテゴリ」で解説した記事【2025年11月】4784 GMOインターネットの妙味を解説!押し目ポイントと成長シナリオでは、GMOインターネットは「ショート目線」だと分析していたが、当時1,139円だった株価が、本稿執筆時点で759円になっている。

本記事は、特定の銘柄を推奨する目的で作成したものではありません。投資にはリスクが伴います。掲載内容は市場分析と筆者の見解をまとめたものであり、ご自身の状況やリスク許容度に応じて、慎重に投資判断を行いましょう。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学経済学部卒業、FP2級、証券外務員一種、宅建士取得。証券アナリスト(CMA)、テクニカルアナリスト(CMTA)保有。 FOREX Dealing Crop.代表、株式投資家兼為替トレーダー、不動産投資家。2007年に大学入学と同時にネット証券の口座を開設し、株式投資とFXを始める。投資開始当初は、リーマンショックの渦中で信用取引の短期売買を繰り返し、アルバイトで貯めた56万円を失う「大損」を経験。家庭教師のアルバイトをしながら株式投資とFXを続け、学費を投資で稼ぐようになる。そんな投資経験を活かして大手証券会社に就職し、自社資金を運用するプロップ・ディーラーとして10年以上勤務。現在は、専業トレーダーとして、株式投資・FXでサラリーマンの平均年収の3倍以上の収益を上げつつ、不動産投資家としても活動。東京・大阪を中心にマンション投資を行う。自身の投資で得た経験と専門知識をもとに投資の難しさや面白さ、ノウハウを世に広めていきたいと考え、FOREX Dealingを立ち上げ、情報発信を行っている。

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