FXは勝率50%だという発言が目立つが・・・
「FXで何も考えず、取引をしたら勝率50%だ。」などという、ウェブサイトの記事を頻繁に見かける。
しかし、これは間違っている。
このように勝率を単純化して考えるなら、実際には「33%」だ。
勝率50%などという甘い考え方を持っている時点で、「負け組思考」に陥っている可能性があるので、注意しよう。
「勝率33%」という数値は、「80%~90%の人がFXで負ける」といわれる現状に照らしても、納得できる数値ではないだろうか。
勝率33%の勝負を続けていると・・・3連勝できる確率は、0.333…の3乗なので、0.0370…(約4%)となる。
さらに、リスク・リワード比率(後述)を考慮しなければ、トータルで勝つことはできない。
為替相場は、非常に厳しい世界だ。
FXは、なぜ勝率33%?
まず第一に、FXトレーダーは「取引をする」か「取引をしない」かを選べる。
ただし、勝率を計算する以上、「取引をしない」という選択肢はひとまず除外し、取引をする場合に限定して考える。
勝率は、「取引結果」についての計算だからだ。
そうすると、FXトレーダーが選ぶことができる選択肢は、2パターンある。
「買い(BUY)」と「売り(SHORT)」だ。
そして、相場は常に、「上昇(大局的に見れば上昇)」「下落(大局的に見れば下落)」「停滞(トレンドなし)」のいずれか1つの状況にある。
「買い」は、基本的に相場が上昇局面でするし、その逆も然り。
ところが、相場のトレンドを見誤ることもあるだろうし、逆張りをする人もいるだろう。
そういったことを考慮して単純化してみたい。
たいていの人は、「投資家がトレンドを見極められる」ことや「エントリー時のトレンドが続く」ことなどを前提として、単純に考えると勝率50%だと考えているようだ。
しかし、その考え方は論理的に考えるとおかしい。
相場は常に変化し続ける。
そして、エントリー局面からトレンドが転換して失敗することもある。
そうすると、イグジット局面(手仕舞い時のトレンド)についても考える必要がある。
【ポイント1】エントリー局面のトレンド把握ミスも考慮
エントリー局面でトレンドを見誤る可能性があるし、逆張りという手法を使う場合もあることを考慮する。
【ポイント2】手仕舞いについても考える
イグジット局面でも、相場状況は「上昇」「下落」「値動きが停滞(同値撤退)」の3パターンが考えられる。
ところで、単純化するなら、イグジット局面では「トレンドの把握ミス」を考慮する必要はない。
一定の含み益が出たら自動的に利食いをすると考え、その逆も然りだ。
厳密にいうと、「トレンドが転換しそうなら、早めに利食いをしよう」などという裁量の判断もあり得ると思うが、そこまで考えてしまうと・・・もはや「単純化」とはいえない。
パターンは全部で18個
例えば、エントリー局面で上昇している場合、次のようなパターンが考えられる。
- 上昇中にロング→そのまま上昇=利食い
- 上昇中にロング→値動き停滞=同値撤退
- 上昇中にロング→トレンド転換して下落=損切
- 上昇中にショート→トレンド転換して上昇=損切
- 上昇中にショート→値動き停滞=同値撤退
- 上昇中にショート→トレンド転換して下落=利食い
上記6パターンは、エントリー局面で「上昇」している場合だ。
しかし、この他にも、エントリーの際に相場が「値動き停滞」「下落」していることもあるはずだ。
全てのパターンを書き出すと、単純計算で「6×3=18パターン」ある。
このうち勝ちパターンは、「2×3=6パターン」だ。
ホールドについては、考えない?
勝率について「ものすごく単純に」考えるならば、ホールドは想定不要だ。
なぜならば、勝率が確定するのは、「イグジット(ポジションを決済)」した時点だからだ。
ホールドはイグジット(決済)の選択肢ではないので、ここでは除外して考える。
ホールドを考慮するとしたら、もう少し複雑な計算になってしまう。
結局、「単純計算の勝率」はいくら?
かなり大雑把な単純計算になるが、「6÷18=0.33(33%)」となる。
基本的な勝率(確率)の求め方は、次の通りだ。
勝ちパターンの数 ÷ 全パターンの数 = 勝率
勝率33%というと「そこそこ勝てそうだ」と思うかもしれない。
しかし、利食いと損切の値の設定を誤ってしまうと、たちまち収益が悪化する。
投資の経験が浅い人は、たいていリスクリワードの戦略が甘いので、結局負け越してしまって退場することになる。
リスク・リワード比率とは
平均利益(全ての利益/勝ちトレード数)を平均損失(全ての損失/負けトレード数)で割ったのがリスク・リワード比率だ。
例えば、リスク・リワード比率が3なら、1回のトレードで得る利益は、おしなべて損失の3倍となる。
このため、3勝7敗(勝率30%)でもトータルで利益が出るのだ。
勝率33%で「トータルで勝つ」には
1回の取引の勝率が「33%」だとして、トータルで勝つにはリスク・リワード比率が「約2.1」以上である必要がある。
勝率33%だと、100回取引して33回勝利し、67回は負ける。
つまるところ、1回あたりの「勝ち」は「負け」の2.1倍の金額なので、33×2.1=69.3(総利益)となり、67(総損失)を上回ることが分かるだろう。
FXで勝ち続けるのは困難
FXは「勝率33%」なのだから、たった1回の取引で約67%の人が負けることになる。
さらに、投資初心者は「リスク・リワード」のことを知らない人も多い。
その結果として、為替市場では少数の勝者が多数の敗者の資金を集め続けている。
しっかりとしたトレード手法や知識を持たずに相場に挑むと・・・一時的に勝つことも当然起こり得るが、長い目で見ると非常に多くの人が結局トータルで損失を出してしまうのは、間違いないだろう。
算数の知識を用いた単純な計算だったが、ご理解いただけただろうか。
皆さんは、しっかりと自分の手法を磨き、知識を身に着けてからFXのトレードを行うようにしよう。
FXでは最低でも「上位33%」か、それ以上に入り、リスク・リワード比率をしっかりと考慮しなければトータルで勝つことはできない!