米雇用統計と米国の金融政策
2018年頃から、米FRBは雇用統計が強くても弱くても無関係に「利下げ」のスタンスを取っている。もはや雇用統計と米国の金融政策の関係が薄まりつつあるといえる。
雇用統計と為替相場
主要通貨のドル円は雇用統計前後に対して以前ほど大きな反応を示さなくなった。下記は、ドル円 1時間足チャートだ。赤丸部分が2019年9月6日21:30(日本時間)頃の為替変動を示している。
一時的に大きく変動しているように見えるが、トレンドを変えるようなインパクトはない。
米雇用統計の予想値
複数のFX業者や経済アナリストが米雇用統計の予想値を公表しているが、それらの中でも信ぴょう性の高い情報をもとに「過去実績と予想値」の表を作成した。
赤色は前月比で改善、青色は悪化(又は成長鈍化)を示している。
6月 | 7月 | 8月 | 9月予想 | |
非農業部門の雇用者 | 19.3万人 | 15.9万人 | 13.0万人 | 14.5万人 |
失業率 | 3.7% | 3.7% | 3.7% | 3.7% |
平均時給(前月比) | +0.3% | +0.3% | +0.4% | +0.3% |
平均時給(前年比) | +3.1% | +3.3% | +3.2% | +3.2% |
9月の非農業部門雇用者は14.5万人(+1.5万人)に上ると予想される一方で、平均時給の伸びが鈍化するとみられている。
確かに14.5万人という雇用者数だけを見れば、為替相場における「悪材料」とまでは言えないが、その実態を見れば決して楽観できない。
というのも、工場労働者の就労時間が短くなっているという調査結果もあるのだ。企業が抱える人材の量に見合った受注が無く、確保した人材が手持ち無沙汰になっていたり、シフトが削られたりしている可能性があるのだ。実際に、非農業部門全体の生産量は減少している。
労働者の労働時間が減って収入が下がると支出も減るため、不況のきっかけが生まれているとも考えられる。
米国の労働者の実感
全米産業審議会が行った雇用状況等に関するアンケートでは、「求人数は充分ある」との回答は44.8%(前回比5.5%減)だった。また、「6ヵ月後に仕事先が増えると思う」との回答は17.5%だが、「少なくなっている」との回答も15.7%に上っており両者は拮抗している。
このアンケート結果から、米国の労働者が自国の雇用の現状に関して充分に満足しておらず、楽観視もできていないことが分かる。
9月米国雇用統計の発表日時
- 2019年10月4日 21:30(日本時間)
10月4日更新:雇用統計結果
8月 | 9月予想 | 9月結果 | |
非農業部門の雇用者 | 13.0万人 | 14.5万人 | 13.6万人 |
為替への影響
USD/JPY 1時間足のチャートを見てみよう。円高方向に比較的大きな動きが出ているようだ。円安トレンドが一服し、しばらく円高に振れる可能性がある。