高浜町元助役が関電重役に裏金
関西電力の八木会長・岩根社長・豊松副社長ら20人の重役が、福井県高浜町の元助役(任期:1977年~89年)の森山栄治氏から2017年までの7年間で計約3億2千万円の金品を受け取っていた事実が、金沢国税局の税務調査や匿名の「告発文書」により発覚した。同町では関電高浜原発が稼働している。
いわゆる「原発マネー」が関電重役らに還流されていたのだ。重役ら関係者は、金品受領の事実を認めている。また、元助役の森山氏が地元の建設会社の吉田開発から約3億円を受け取っていたことも分かっている。
問題発覚の経緯
そもそも、原発誘致の理由は?
1960年頃から高浜町の人口流出が始まり、同町は過疎化してしまった。また、同町には特に目立った産業が無かったため、原発誘致で町の活性化を図ったのだ。
助役とは?
助役は、2007年3月31日まで存在した地方自治体の役職で、市町村長を補佐し事務を監督する地方公務員の特別職だ。現在では呼び方が変わり、「副市長(又は副町長、副村長)」となっている。
告発文書とは?
週刊朝日が「告発文書」を入手し、ネット上に公開している。下記にそのスクリーンショット画像を掲載させていただく。
元助役が関電子会社の顧問!?
2019年10月1日、新聞各社が新たな情報を掴み報道した。関電の全額出資会社「関電プラント(大阪市)」が30年以上(1987年~2018年12月)にわたって福井県高浜町の元助役・森山氏と非常勤顧問の契約をし、報酬を支払っていたというのだ。
報酬の額は不明だが、同社は「常識の範囲内」だと主張している。
関電、裏金の実態を公表へ
2019年9月29日、関西電力は幹部会議で「社内報告書」を開示する方針を固めた。全員の氏名、正確な人数や金額を公表する方針を示した。
10月2日に会見
2019年10月2日の14時から、経営トップの八木会長と岩根社長が同席して「金品授受問題」の説明を行うための会見が開かれた。会見では、20人の重役らが「金貨365枚、小判3枚、金500g、金杯8セット、6322万円分の商品券、スーツ仕立券(スーツ75着相当)、1億4501万円以上の現金」を受け取っていたことを明かした。会見時の資料等によると、その総額は3億2,000万円以上に上る。
受領金額の多い順
鈴木常務 | 1億2367円相当 (現金7000万円) |
豊松元副社長 | 1億57万円相当 (現金4000万円) |
八木会長 | 859万円相当 (商品券30万円、金貨63枚、金杯7セット) |
岩根社長 | 150万円相当 |
関電としては、森山氏(通称Mさん)は「自分を大きく見せようとする」示威行為の手段として金品を渡していたと認識しており、金品の返還を試みても「無礼者!ワシを軽く見るなよ!」と激高され、返すことができなかったとのことだ。また、関係者は現在、ほとんど全ての金品を返却済みだと主張している。
そして、吉田開発への発注に関しては、「社内規定に従い適切に行っていた」と主張している。
関電による社内処分
10月2日の会見では、岩根社長と八木会長は辞任を再び否定した。その上で、6名の社内処分を行うと発表。その内容は以下の通りだ。
八木誠会長 | 報酬2割を2か月返上 |
豊松秀己元副社長 | 報酬2割を2か月返上 |
岩根茂樹社長 | 報酬2割を1か月返上 |
森中郁雄副社長 | 厳重注意 |
鈴木聡常務 | 厳重注意 |
大塚茂樹常務 | 厳重注意 |