年金2000万円発言撤回と30代の年収と貯蓄

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政府が2000万円報告書を撤回

2019年9月25日、金融庁の金融審議会の総会が開かれ、「日本国民が95歳まで生きるには、夫婦で2,000万円の蓄えが必要」との主張が記載された報告書を議題としないことを決めた。
これは金融審で承認しないことを意味しており、金融庁が同報告書を行政運営等に利用することが無くなるため、事実上の「撤回」だ。同報告書は同審議会の市場ワーキング・グループが6月にまとめて以来、多くの報道機関で取り上げられ世間の波紋が広がっていた。
また、世論の反応を見た麻生金融担当大臣が「報告書の内容は、政府の政策スタンスと異なる」などという声明を発して、同報告書の「正式な受け取り」を拒んでいた。

働き盛りの30代の年収と貯蓄

政府が否定しているとはいえ、現在の公的年金制度の運用状況を見れば、定年後に夫婦で2,000万円以上の資産が無ければ家計が破綻するのは火を見るよりも明らかだ。
そこで、30~40年後に年金を受け取ることになる「30代」の平均年収を調べてみた。

30歳~34歳の平均年収

男性 451万円
女性 307万円
全体平均 397万円

男性の平均年収が「意外と高い」と思われた方も多いのではないだろうか。

上記はあくまでも平均なので、一部の大企業の給与が平均を押し上げている可能性がある。

35歳~39歳の平均年収

男性 510万円
女性 299万円
全体平均 432万円
女性の平均年収が下がっているが、これは結婚後に「非正規雇用」を選ぶ女性が増えていることが影響しているのだろう。

業種別平均年収(全年齢)

1位 電気・ガス・水道 715万円
2位 金融・保険 639万円
3位 情報通信 575万円
4位 学術・教育 501万円
5位 製造 490万円
6位 建設 468万円
7位 複合サービス 425万円
8位 不動産 424万円
9位 運輸・郵便 414万円
10位 医療・福祉 388万円
11位 卸売・小売 358万円
12位 サービス 345万円
13位 農林・水産・鉱業 306万円
14位 宿泊・飲食 236万円

上記は業種だけで区別した平均年収であり、正規と非正規を区別しない全労働者・全年齢の平均値だ。

このため、非正規雇用が多い業種の平均値は低下してしまうので、あくまでも参考程度にしていただきたい。

30代の平均貯蓄

30代の日本国民一人あたりの平均貯蓄は、200~300万円程度だと言われている。

年齢層別だと30代前半の男性なら150万円~200万円程度、30代後半の男性なら400万円程度が平均的な貯蓄ラインの目安になる。

なお、「世帯主が30代」の場合にフォーカスすると、一世帯あたりの平均金融資産保有額は660万円。中央値は382万円となっている。「平均」は一部の高収入層が数値を押し上げているので、中央値の方がより庶民の実感に近いと考えられる。

ところで、2015年の国勢調査では30歳は「41.9%」、40代前半なら「24.9%」が未婚という調査結果がある。

一世帯といっても30代全体で3割程度が未婚だと考えられる。世帯あたりの貯蓄統計を見る際には、このような現状も踏まえておきたい。

30代の平均負債

「貯蓄はあるけれど、負債を抱えている」という世帯もあるだろう。

2014年に総務省統計局がまとめた資料『二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果』によると、30代の平均負債は1,013万円だ。

30代になると既婚率が5割を超える。そして、30代といえば昇進昇格等により収入が増えてくるタイミングで、結婚後すぐに住宅ローンを組む世帯(二人以上世帯)も増えることから、30代未満の407万円から一気に負債が増えている。

1,013万円以上の負債を抱えていると、30代の世帯あたりの貯蓄(平均660万円 / 中央値382万円)を負債が上回るので純資産は赤字だ。

老後の2,000万円の生活費を確保するには、収入を増やしたり支出を見直したりするなど、各世帯が工夫を凝らす必要がある。

まとめ

STEP
年金2,000万円問題とは?

「日本国民の平均年齢が高くなることなどから、定年後の生活に必要な資産が増えている」ことを踏まえ、金融審議会の市場ワーキンググループが国民に自助的な資産形成を喚起する目的で報告書をまとめ、6月3日に公表した。

同報告書では、「夫65歳以上と妻60歳以上の夫婦」の場合、毎月5万円の赤字が生じるため定年後に約2,000万円の資産が必要だと主張し、社会問題となった。

STEP
報告書はHP掲載を継続

「事実上の撤回」を表明する形となったが、「政府非承認」の状態のまま報告書のHP掲載を続けるとのことだ。報告書の正式名称は、『高齢社会における資産形成・管理』だ。

以下に報告書へのリンクを掲載させていただく。

※政府が掲載を停止した場合、リンク切れとなることがあります。

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この記事を書いた人

中学時代から株のチャートを眺めて株価を予想し、大学生(18歳)になって直ぐに証券口座を開いて株式投資とFXを始める。新卒で東京の中小企業に就職するも、企業の将来性に不安を感じて僅か5か月で退職し、複数回の転職も経験。自宅で株取引とFX取引をして成功と失敗を繰り返しながら投資の実力を培う。現在は、主にFXで毎年安定してサラリーマンの平均年収の約3倍程度の投資収益を出している。複数の海外FX口座を利用中。FXで大きな儲けを獲得し、現在は不動産投資にも挑戦中!

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