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横浜地裁がマイナンバー訴訟で初判決
この訴訟は、「マイナンバー制度はプライバシー権を侵害している」との主張が柱で、約230人が国に対してマイナンバーの収集や利用の差し止めを求めたものだ。
2019年9月26日、横浜地裁がこの請求を棄却し、計2530万円の損害賠償請求(精神的苦痛の補償)も退けた。全国8地裁で同種の訴訟が提起されている中で初の判決だ。関口剛弘裁判長は「制度は個人のプライバシー権を侵害していない」として、訴えを退けた。
関口裁判長は、2008年の住基ネットをめぐる訴訟における最高裁の判断と同様、プライバシー権を「個人情報をみだりに開示または公表されない自由」と考えた。これに対し、原告側は「情報収集や利用そのものが権利侵害」と主張しており、控訴する考えだ。
マイナンバーの普及状況は?
マイナンバーは依然として普及しておらず、国の個人番号普及へ向けた取り組みは不充分だといえる。2019年7月1日現在の普及率をまとめると、次の通りだ。
順位 | 市町村名 | 交付率 |
1位 | 粟島浦村(新潟) | 54.6% |
2位 | 姫島村(大分) | 44.0% |
3位 | 五霞町(茨城) | 36.4% |
4位 | 富岡町(福島) | 32.9% |
5位 | 伊是名村(沖縄) | 31.1% |
6位 | 昭和村(福島) | 30.5% |
7位 | 都城市(宮崎) | 30.1% |
8位 | 三春町(福島) | 26.9% |
9位 | 橿原市(奈良) | 25.9% |
10位 | 大東村(沖縄) | 25.5% |
全国平均 | 13.5% |
個人番号システム利用率は低迷
厚労省が80億円以上をかけて整備し、2017年に稼働を開始したシステムがほとんど利用されていない。個人番号と行政機関を連携させるシステムだが、利用率は厚労省の当初想定のわずか0.1%程度にとどまっている。
このシステムは、行政(市町村・ハローワーク・年金機構など)で個人情報を共有できる一方、個人は行政手続きを簡略化できる。
同省は「質の高いシステムなので、普及へ向けて引き続き努力したい」などと主張しており、今後の利用促進へ向けた意欲を示しているが、具体的な施策の内容は不透明だ。
多額の税金を投入したシステムだけに、厚労省は個人・行政の両面で有効な利用方法を確立し、そのメリットを利用者に周知してもらいたいものだ。