【消費税増税】景気対策と消費動向

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過去の増税では消費が大幅減

日本は、過去に2度の消費税増税を行っている。1997年に3%から5%へ引き上げた際には個人消費が前年度比0.9%減となり、2014年に5%から8%へ引き上げた際には2.6%減だった。
なお、いずれも消費税増税の前年度は前々年度比で個人消費が伸びていた。

2019年の消費税増税で景気は?

政府は消費税の増税による家計負担を緩和するために、住宅ローン減税の拡充と自動車税の税率引き下げを行う。それだけでなく、キャッシュレス決済へのポイント還元策(支払額の最大5%)も実施するなど、政府は経済対策に躍起になっている。
大手コンサルティング会社の研究員は、「増税分から政府のポイント還元策を差し引くと、家計の実質的な負担増は年約2.5兆円で、過去2回の増税時の3割程度の負担に抑えられるだろう。」と分析する。また、日本商工会議所の三村会頭も「消費者にとって大きな影響はないだろう」と楽観的だ。

内閣府の消費動向調査

専門家らの楽観的な見方とは裏腹に、現状は厳しい。内閣府が行う消費動向調査(8月)では、消費者の購買意欲を示す「消費者態度指数」が11か月連続で悪化した。10月1日に日銀が発表した9月の日銀短観も大企業の製造業の景況感が悪化している。

日本経済の現状に加えて、過去2度の消費税増税時の個人消費の落ち込みも踏まえると、今回の消費税増税による個人消費の低下は避けられないだろう。

消費が落ち込めば企業業績が悪化して各社が安直な価格競争に走り、再び「デフレスパイラル(物価の持続的下落)」に突入する可能性も否定できない。日銀はデフレ脱却を目指して「2%」の物価目標を掲げてきたが、9年を経ても達成できていない中で今回の増税は大きな逆風となるだろう。

政府の主な増税対策

軽減税率の導入 食料品などの消費税率は8%に据え置き。
幼児教育無償化 3~5歳児の認可保育所などの利用料を無料に。0~2歳児は住民税非課税世帯が対象。
ポイント還元 中小の小売店などでクレジットカードやスマートフォンのQRコードを使用して決済した場合、価格の5%を消費者に還元。
(2020年6月まで)
商品券発行 2万5000円分の買い物が可能な商品券を2万円で購入できる。2歳以下の子供がいる世帯や住民税非課税世帯が対象。
消費税増税から9カ月間、小売店でキャッシュレス決済の利用者に最大5%のポイント還元が行われる。日本チェーンストア協会は今回の施策に関して、店によって還元率や還元有無が生じるため「公正な競争を阻害する」と批判的だ。

増税で混乱する現場

増税初日を迎え、飲食・小売業界各社は混乱している。例えば、回転寿司チェーン大手の「スシロー」では10月1日に、大規模なシステム障害が発生。トラブルが起きた店舗では、消費税率を「0%」として計算した。
スシローの担当者は、「原因は調査中だ。消費増税関連のシステム変更が原因だと思われる。早期復旧を目指していく。」と述べている。
このほか、大阪メトロ、名鉄、京成などの電鉄各社の発券機でシステム障害が発生した模様だ。

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この記事を書いた人

中学時代から株のチャートを眺めて株価を予想し、大学生(18歳)になって直ぐに証券口座を開いて株式投資とFXを始める。新卒で東京の中小企業に就職するも、企業の将来性に不安を感じて僅か5か月で退職し、複数回の転職も経験。自宅で株取引とFX取引をして成功と失敗を繰り返しながら投資の実力を培う。現在は、主にFXで毎年安定してサラリーマンの平均年収の約3倍程度の投資収益を出している。複数の海外FX口座を利用中。FXで大きな儲けを獲得し、現在は不動産投資にも挑戦中!

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