インジケーターよりチャート
過日、友人のFXのプロと会食する機会があった。その方は、某外資系金融機関で為替ディーラーをしている人物だ。彼は一人で、数億円から数十億円を動かすことができるという。
プロの為替ディーラー曰く、「テクニカル指標も参考にするが、何よりも大事なのはチャート。」だという。そして、チャートの中でも最も大切なのは、「直近の値動き」を把握することだ。なぜならば、過去の値動きよりも、直近の値動きのほうが新しい情報であり、新しい情報ほど今後の値動きに影響を及ぼす可能性が高いからだ。
どの時間足を選べば良い?
プロ為替ディーラーは、どの時間足に着目してエントリーしているのか。友人の為替ディーラーは、「日足」は必ず見るという。日足で相場の大勢を把握したうえで、1時間足や4時間足などに現れる細かいトレンドを捉えて、エントリーするのだ。一方で、彼は週足を見ることがほとんどない。週足はあまりにもスパンが長く、参考にならない。
為替相場の方向性を決めているのは実需筋
中長期的な為替相場の方向性を決めているのは商社やメーカーなどの「実需筋」であって、ファンドではない。為替は「買い」と「売り」がセットになっており、「買った」ら必ず「決済売り」をするタイミングがある。
ファンドは短期スパンで売買を繰り返すのだが、実需筋は買ってから決済売りをするまでのスパンが長いので、実需筋の需給バランスが日足にあらわれるのだ。
順張りか逆張りか
友人の為替ディーラーは、「順張り」だと即答した。逆張りは、相場のトレンドに逆らう売買であって、リスクが高いのに期待収益が少ないので、割に合わないのだ。
為替相場のトレンドに乗ることが、為替取引(FX)で勝ち続けるには欠かせない。為替相場では、常に「買われている(上昇)」か「売られているか(下落)」か、「停滞か(持ち合い)」という3パターンしかないので、その方向性を見極めることに勝利の鍵があるのだ。
なお、為替相場が「持ち合い」となって方向感を失っているときに、エントリーすることはない。大きな値幅が狙えないし、次に上昇するか、下落するかを読みづらいからだ。
- チャートが最も重要
- 直近の値動きが最も大切
- 日足は必ずチェック
- 為替相場は上昇・下落・停滞のいずれか
- 持ち合い(停滞)では売買しない
直近の値動きとは?
プロ為替ディーラーは「直近の値動き」が大事というが、どういうことなのかを踏み込んで聞いてみた。それは、「5分足」や「15分足」の直近の一本のローソク足のことだという。
5分足や15分足の形に注目して、例えば、長い上髭がついていれば、そこに売りたい人の注文(利食い売りやショートエントリー)が沢山並んでいるということだと解釈して、「これ以上上昇する可能性は低いな。」と判断する。
逆に、サポートライン付近で下髭が出現したら、「ここには買いたい人の注文が多いので、これ以上下がる可能性は低いだろう。」と考えるのだ。
トレンドラインを意識しない
為替取引(FX)をしているなら、「トレンドライン」を聞いたことがある人は多いだろう。しかし、プロ為替ディーラーは、エントリーの際にトレンドラインを全く意識しないのだという。彼は、次のように言った。
「トレンドラインまで落ちてきたらエントリーするという手法は、逆張りに他なりません。下落している局面で買いのエントリーを狙うということですから。その瞬間、下落の勢いが強いので、そのままトレンドラインを割って下落してしまう可能性もあります。」
確かにその通りだ。相場の勢いに素直に乗っかるという「原則」に反しているので、エントリーの際にトレンドラインを意識することには合理性がないといえる。
こちらのチャートは、EUR/USDの1時間足だ。チャートで白丸を付けたところは、「結果的に」反発して後から見るとエントリーポイントであるかのように見えるが、トレンドラインに向けてレートが下落している瞬間は、「反発するかどうか、誰にも分らない」のである。
したがって、トレンドラインを使用しているとはいえ、下落局面でのエントリー(逆張り)は博打に近いといえるので、やめておいたほうが無難だ。
どうしてもトレンドラインを使った売買にこだわりがあるなら、トレンドラインで反発したことを確認してから買いエントリーするべきだろう。売りの場合も考え方は同様だ。
- 直近の一本のローソク足の形に注目!
- トレンドラインは気にしない
- トレンドラインを使うなら、反発・反落してから順張り