独占禁止法に基づいた調査へ
2019年4月20日(土)と21日(日)の日経新聞の報道によると、巨大IT企業への規制に関する政府案の内容が明らかになったとのことだ。独占禁止法に基づいて実態調査を定期的に実施し、IT大手に取引先との契約条件の開示を義務付ける新しい法律も検討する。立場の弱い取引先が不利益を被らない競争環境の整備をめざすという趣旨だ。
規制・調査の趣旨
巨大IT企業の力が強くなるにつれて、公正な競争環境や消費者の利益が損なわれる恐れがあるため、これを防止するために規制を強化したり、サービスの調査を行ったりするという考え方だ。海外ではEUが取り締まりを強めていることもあり、日本も対策を強化する方針だ。
主なポイントは以下の通りだ。
- 巨大IT企業により寡占や独占が生じやすいことが問題なので、公正な取引慣行の構築が必要。
- 過剰な規制で新たなイノベーションを抑止してはならない。
- 独占禁止法を補完する新たな法制化を検討
- 民事訴訟だけでは取引事業者の救済が不十分なので、行政処分を含めて検討する。
規制対象はGoogle、Facebookなど
規制・調査の対象は、IT大手が運営するインターネット通販サイトやアプリストアが中心だ。Google、Apple、Facebook、Amazonのほか、楽天、ヤフーなどが規制対象になるとみられる。
独禁法40条に基づく調査
独禁法には、「調査の強制力」などを定めた独禁法40条がある。企業がこの法律に基づいた調査を断ったり、虚偽の報告をしたりすると罰金が科せられる。
現在はIT大手を公取委が調査しようとしても、IT大手と出品企業が結んでいる守秘義務契約などが壁となって調査が進まないことがあるのだが、「独禁法の40条調査」を含めて、定期的にIT大手のサービスの実態調査を行うという方針だ。
新しい法律も検討
調査を補完するための新しい法律も検討されている。出品企業との取引条件の開示や説明の義務をIT大手に課し、これに違反した場合には行政処分を出すという内容だ。