2019年10月 日銀短観は3期連続の悪化

2019年10月1日、日銀が「9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」を発表した。新聞各紙で注目されている主な数値をまとめた。

設備投資計画

積極的に設備投資をする意欲が見えてくれば、景気の先行きは比較的明るいと考えられる。

赤色は今回の修正で改善された部分、青色は悪化した部分だ。

項目 今回数値(9月) 今回修正値 前年度
大企業製造業 11.8% -1% 7.0%
大企業非製造業 3.6% -0.5% 7.4%
中堅企業製造業 -1.1% -1.4% 6.4%
中堅企業非製造業 -5.4% 2.0% 9.5%
中小企業製造業 -0.1% 3.0% 17.2%
中小企業非製造業 -10.5% 2.8% -4.4%

業況判断指数(DI)

DI(diffusion indexes:ディフュージョン・インデックス)は、景気動向の方向性を示す指数だ。
人材採用、機械や設備などの投資などについて、それぞれの指標の値の上下動を調べ、景気の動向・波及状況などについて調べる。
次の表の赤色は今回の修正で改善された部分、青色は悪化した部分だ。
項目 今回数値(9月) 前回数値(6月)
大企業製造業 +5% +7%
大企業非製造業 +21% +23%
中堅企業製造業 +2% +5%
中堅企業非製造業 +18% +18%
中小企業製造業 -4% -1%
大企業非製造業 +10% +10%

今回の結果はどうなの?

「指標の中で唯一の支えだった非製造業の設備投資意欲が下がってしまうことは大きな問題だ」との専門家の主張もある。増税で収益が伸び悩むことで企業の投資意欲が低下すると、より一層経済の先行きは悪くなるだろう。

増税と併せて実施される「キャッシュレス決済のポイント還元」による恩恵は、1世帯あたり実質2千円程度だとの試算があり、増税による内需の低下が懸念される。

そもそも、日銀短観とは?

正式名称は「企業短期経済観測調査」といい、3・6・9・12月の年4回に分けて、日銀が一般企業を対象に調査を実施する。

調査はアンケート形式で約1万社以上の「業績・設備投資・雇用等の実績と先行き」などを調べ、その集計結果をもとに日本経済の現状と先行きを分析する。

日銀短観の調査(アンケート)は回答の回収率が高いため、調査の翌月に公表されることが多い。

日銀短観掲載ページ

日本銀行の公式ホームページの「統計」ページでPDFをダウンロードできる。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学経済学部卒業、FP2級、証券外務員一種、宅建士取得。証券アナリスト(CMA)、テクニカルアナリスト(CMTA)保有。 FOREX Dealing Crop.代表、株式投資家兼為替トレーダー、不動産投資家。2007年に大学入学と同時にネット証券の口座を開設し、株式投資とFXを始める。投資開始当初は、リーマンショックの渦中で信用取引の短期売買を繰り返し、アルバイトで貯めた56万円を失う「大損」を経験。家庭教師のアルバイトをしながら株式投資とFXを続け、学費を投資で稼ぐようになる。そんな投資経験を活かして大手証券会社に就職し、自社資金を運用するプロップ・ディーラーとして10年以上勤務。現在は、専業トレーダーとして、株式投資・FXでサラリーマンの平均年収の3倍以上の収益を上げつつ、不動産投資家としても活動。東京・大阪を中心にマンション投資を行う。自身の投資で得た経験と専門知識をもとに投資の難しさや面白さ、ノウハウを世に広めていきたいと考え、FOREX Dealingを立ち上げ、情報発信を行っている。

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