世代・学歴別年収(中央値)
年齢 | 全体 | 高卒 | 大卒 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 261万円 | 265万円 | 273万円 |
25~29歳 | 327万円 | 319万円 | 364万円 |
30~34歳 | 387万円 | 358万円 | 450万円 |
35~39歳 | 443万円 | 401万円 | 538万円 |
40~44歳 | 510万円 | 437万円 | 657万円 |
45~49歳 | 550万円 | 475万円 | 705万円 |
50~54歳 | 552万円 | 495万円 | 720万円 |
55~59歳 | 516万円 | 487万円 | 709万円 |
60~64歳 | 381万円 | 335万円 | 637万円 |
退職金の額(平均値)
高卒 | 大卒 | |
中小企業 | 1,083万円 | 1,139万円 |
大企業 | 2,047万円 | 2,374万円 |
年を重ねると「学歴」で給与に差
中央値を見る限り、初任給は高卒と大卒でほとんど変わらないようだ。
しかし、60代に入ると高卒年収の中央値「335万円」に対して、大卒年収は「637万円」となっており、その差は302万円だ。
正直なところ、高卒と大卒という学歴の違いで、仕事にかける肉体的・精神的な労力自体が大幅に変わるとは思えないが・・・。とはいえ、会社から任せられる仕事の責任(マネジメントなど)は、大卒の方が大きい場合が多いだろう。
60代となると、定年後の再就職というケースも考えられる。それまでの職務経験が再就職時の仕事の種類・内容に影響することを考えると、学歴ごとに賃金差が出てしまうのは仕方がないのかもしれない。
この表の「学歴別の賃金差」をみれば、子供を大学に入れておきたいと思う親の気持ちが分かる。大学進学率は年々上がっており、2019年は54.67%程度だといわれている。
そもそも、中央値とは?
本稿で紹介する数値は「中央値」が多い。
中央値とは簡単にいうと、「(上から数えて)ちょうど真ん中」にある数値だ。
(例1)
- データ:1・20・50・100・150・180
- 中央値はちょうど真ん中にある「100」だ。
(例2)
- データ:1・20・50・100・150
- 中央値は3番目の「50」だ。
データの数が奇数個の場合、次のように考える。
例えばデータが5個なら、「5 / 2 = 2.5」→「繰り上げて3」→「3個目が中央値」となる。
世代別の貯金・負債額
ここからは、世代別の平均的な貯金水準や負債額をご紹介させていただく。
皆さん、意外としっかりと貯金をしているようだ。
20代
- 貯蓄200万円未満の世帯が7割を占める。
単身世帯 | 二人以上世帯 | ||
貯蓄 | 中央値 | 85万円 | 250万円 |
平均値 | – | 384万円 | |
負債 | 平均値 | – | 675万円 |
- 貯蓄平均値と負債平均値の統計は、「二人以上世帯」のみとなる。
20代は収入の何%を貯蓄する?
年収の中央値は20代前半が「261万円」で、20代後半が「327万円」だった。
単純に計算すると・・・単身世帯の場合、収入の約2.89%を貯蓄していることになる。
- 85 / {(261×5)+(327×5) } × 100 = 2.8911…
日本人の貯蓄性向(可処分所得のうち、どれくらい貯蓄するか)は、近年下落傾向にあり「3%程度」で推移しているので、その意味でも辻褄が合っている。
30代
- 最も貯蓄しやすい世代といわれている。
- 給与が増え、子育てにかかるお金(教育費)も少なめ。
単身世帯 | 二人以上世帯 | ||
貯蓄 | 中央値 | 250万円 | 500万円 |
平均値 | – | 631万円 | |
負債 | 平均値 | – | 1,329万円 |
30代は収入の何%を貯蓄する?
年収の中央値は30代前半が「387万円」で、30代後半が「443万円」だった。
単身世帯の場合、30代で得た収入の約3.98%を貯蓄していることになる。
- (250 – 85) / {(387×5)+(443×5) } × 100 = 3.9759…
20代単身の貯蓄性向が2.89%だったので、30代になり約1.09%も収入に対して貯蓄する割合がアップしている。
40代
- 二人以上世帯では教育費が増える。
- 住宅ローンを組むことも。
- 60代で2000万円を貯めるなら、40代のうちに1000万円を貯めておきたい。
単身世帯 | 二人以上世帯 | ||
貯蓄 | 中央値 | 500万円 | 800万円 |
平均値 | – | 1,012万円 | |
負債 | 平均値 | – | 1,105万円 |
40代は収入の何%を貯蓄する?
年収の中央値は40代前半が「510万円」で、40代後半が「550万円」だった。
単身世帯の場合、40代で得た収入の約4.72%を貯蓄していることになる。
- (500 – 250) / {(510×5)+(550×5) } × 100 = 4.716981…
20代単身の貯蓄性向が2.89%、30代単身は3.98%だったが、さらに0.74%も収入に対する貯蓄割合がアップしている。
もちろん、この計算では30代までに貯めた貯蓄は除外し、40代の収入に対する貯蓄割合を計算している。なお、計算を単純化するために「単身世帯」のみを比較している。
50代
- 子供が独立して、お金を貯めやすくなる。
単身世帯 | 二人以上世帯 | ||
貯蓄 | 中央値 | 711万円 | 1,186万円 |
平均値 | – | 1,778万円 | |
負債 | 平均値 | – | 683万円 |
50代は収入の何%を貯蓄する?
年収の中央値は50代前半が「552万円」で、50代後半が「516万円」だった。
単身世帯の場合、50代で得た収入の約3.95%を貯蓄していることになる。
- (711 – 500) / {(552×5)+(516×5) } × 100 = 3.95131…
40代と比べると貯蓄性向が「0.77%」下がってしまった。
60代
- 住宅ローンの返済が終わる人も。
- 退職金が出る。
- 3,000万円以上の貯蓄者の割合が最も多い世代だ。
単身世帯 | 二人以上世帯 | ||
貯蓄 | 中央値 | 1,100万円 | 1,500万円 |
平均値 | – | 2,327万円 | |
負債 | 平均値 | – | 207万円 |
60代は収入の何%を貯蓄する?
年収の中央値は60~64歳が「381万円」だった。
中小企業の平均的な退職金の額は高卒で「1,083万円」、大卒で「1,139万円」なので、ここでは約1,100万円として計算する。
そうすると単身世帯の場合、60代で得た収入の約12.95%を貯蓄していることになる。
- (1,100 – 711) / { (381×5) + 1,100} × 100 = 0.12945…
50代と比べると大幅アップ(+9.00%)となった。
ただし、退職金の額によって貯蓄性向の数値は大幅に変わるので、あくまでも参考程度としていただきたい。
世代別貯蓄性向の推移まとめ
世代 | 貯蓄性向 | 世代間の比較 |
20代単身 | 2.89% | – |
30代単身 | 3.98% | +1.09% |
40代単身 | 4.72% | +0.74% |
50代単身 | 3.95% | -0.77% |
60代単身 | 12.95% | +9.00% |
- 世代別収入と世代別貯蓄の中央値をもとに、当サイトで独自に貯蓄性向を計算した。
- 計算を単純化するために、単身のみを計算対象としている。
1990年代の貯蓄性向は10%超
1990年代の貯蓄性向(手取り収入のうち、貯蓄に回す割合)は10%を超えていた。例えば、1991年には約16%もあった。ところが、日本人の貯蓄性向はこの20年で下落しており、現在は2%後半~3%程度だ。
上の表において世代間で貯蓄性向に差が出たのは、1990年代頃から10%近くの貯蓄をしてきた経験の有無があらわれているのではないだろうか。
貯蓄はいくらあれば良い?
『生活保障に関する調査(2016年版) – 生活保険文化センター』によると、60歳以降にゆとりある生活を送るためにはなんと「8,400万円以上」のお金が必要だという。
金融庁が2019年6月11日、「年金2000万円問題」の報告書を事実上撤回したのだが・・・ある意味でこれは「正しい」といえる。
今後、年金制度が正常な状態で維持・運営されるのかが分からない以上、私たちが自助努力で貯めるべきお金は、2,000万円では全くもって足りない。
主な参考資料
- 『2018年 家計の金融行動に関する世論調査(金融広報中央委員会)』
- 『民間給与実態統計調査結果(国税庁)』
- 『生活保障に関する調査(2016年版) – 生活保険文化センター』
- 『総務省統計局 家計調査年報(貯蓄・負債編)-2016年(平成28年)』
- 『総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)』