外国為替市場は、常に動いている
外国為替市場(FX)は、土・日曜日を除いて24時間、世界中の市場参加者が入れ替わりで売買し、値動きを作っている。ウェリントン市場から始まり、シドニー・東京・香港、シンガポール・ロンドン・ニューヨークという具合に、各国で朝を迎えるにつれて、取引の主体が入れ替わっていくのだ。
外国為替市場は、どこか特定の場所に「取引所」があるわけではなく、各国都市の朝から夕方にかけて、それぞれの国の人々が売買することで成り立っている。外国為替市場でも、東京市場、ニューヨーク市場などということがあるが、これはあくまでも、その時間帯に取引が活発に行われているということであり、明確な定義はない。
外国為替の三大市場
三大市場と呼ばれているのは、ニューヨーク市場、ロンドン市場、東京市場だ。時差があるので、互いの市場の時間帯は重なっているので、例えば、東京市場が終わってからロンドン市場が開くというわけではない。
三大市場という呼称は、いずれの国の取引主体が活発に取引をしているのか・・・ということを表しているにすぎず、条約や法律で明確な定義が定められているわけではない。世界の為替市場(時間帯別)の特徴をまとめたので、よろしければ、ご参考にしていただきたい。
ウェリントン市場、シドニー市場
- 日本の時間帯:7:00~15:00
- GMT:22:00~翌6:00
- ウェリントンと日本の時差:-3時間(ウェリントンが進んでいる)
- シドニーと日本の時差:-1時間(シドニーが進んでいる)
ウェリントン市場はニュージーランド、シドニー市場はオーストラリアの日中の時間帯だ。日本で日付が変わってから、一番早くスタートする市場だ。この時間帯は取引参加者が少ないので、大きな値動きがないことが多い。
ただ、週末にマーケットに影響を与える出来事が起こったり、中央銀行総裁会議などがあった時には、いち早く反応する。
東京市場
- 日本の時間帯:9:00~17:00
- GMT:24:00~翌8:00
東京市場がスタートすると、為替の値動きが徐々に大きくなってくる。日本時間10:00ごろには仲値が決まり、マーケットの動きが活発になってくる。
11:00頃には、シンガポールや香港の市場参加者が加わり、為替取引は一段と活況になる。また、この時間帯には、国際取引を行う日本の実需筋が取引を行うことが多い。日本時間15:00頃からロンドンの参加者が徐々に取引を行いはじめて、17:00からロンドン市場がはじまる。
ロンドン市場
- 日本の時間帯:17:00~翌1:00
- GMT:8:00~16:00
- ロンドンと日本の時差:+8時間(日本が進んでいる)
ロンドン市場は、東京市場とニューヨーク市場の間にあり、一日のうちで最も活発に取引が行われる時間帯だ。東京市場で相場が穏やかなのに、ロンドン市場に入ると突然、値動きが荒くなることがある。
この時間帯には、ヨーロッパの人々も取引しているので、ポンドやユーロの値動きが荒くなることが多い。主な市場参加者は、イギリスやヨーロッパの実需筋・中東や欧米のヘッジファンドなどだ。
ニューヨーク市場
- 日本の時間帯:22:00~翌6:00
- GMT:8:00~21:00
- ニューヨークと日本の時差:+13時間(日本が進んでいる)
ロンドン市場の次に多い取引高がある。経済指標はニューヨーク時間の午前8:30(夏時間/日本:午後9:30)に発表されるので、日本人やイギリス人をはじめとして、世界中の取引参加者がこの時間帯の値動きに注目している。
GMT、夏時間、冬時間とは
GMT
GMTは、「Greenwich Mean Time」の略であり、グリニッジ標準時のことだ。経度0度の位置にあるロンドンのグリニッジ天文台を基準とした世界標準時間である。
GMTは、「GMT+数字」または「GMT-数字」といった形で表記される。日本時間(東京市場)は、ロンドンとの時差が9時間あるので、「GMT+9」となる。
夏時間と冬時間
多くのFX会社で冬時間は「GMT+2」、夏時間は「GMT+3」とされている。
仲値とは
外国為替市場には、2種類ある。対顧客市場とインターバンク市場(銀行間取引)だ。このうち対顧客市場では、個人が旅行に行く際の両替などに用いられる。
例えば、両替のために一人ひとりに取引レートを計算して提示するのは難しいので、予め一定のレートを決めておく必要がある。そこで、仲値を定めるのだ。
インターバンク市場のレートに手数料を加えたものが個人や企業に対する提示レートだ。日本時間の午前10:00に、それぞれの銀行が、市場の相場展開をみてその日の仲値を設定し、これに手数料を加えたものを取引用に提示するのだ。
そして、仲値が決まる午前10:00頃には投機的な売買がなされることがあり、値動きが荒くなりがちだ。